中卒で大学に入って高卒資格を取る?特修生制度- 学歴ってなに?

このブログの中でも何度も取り上げさせてもらっている 「短大・専門学校卒ナースが簡単に看護大学卒になれる本」 の著者、松本肇さん(よくここにもコメントをくださる気さくな方です)がまたまたやってくれました。


『中卒・中退・不登校 誰でもイキナリ大学生 ─放送大学/通信制大学「特修生制度」活用法』

「誰でもイキナリ大学生」とはこれまたいっけん眉唾なタイトルですが、中身を読むと目から鱗。「短大・専門学校卒ナースが簡単に看護大学卒になれる本」と同じく、読んだ後、思わず唸ってしまう内容でした。

学歴っていったい何??

なんでそんなつまらないものに振り回されなくちゃいけないの?

このブログでテーマにしている学士(看護学)取得とは直接は関係ありませんが、学歴社会を考える上で、斬新な視点でかかれた本だと思います。

高卒資格がない場合


おおざっぱな内容を紹介しますと、中卒、高校中退の人でも、思い立ったら吉日で、半年間・12万円の費用と時間だけで、確実に「大学生」になれますよ、という内容。

ふつう大学に入学するには高卒であることが必要です。どんな高校であっても高卒資格さえあれば、誰でも大学生になることは可能で、通信制大学を利用すれば入学に学力は関係ありません。地道に努力を重ねれば卒業して、晴れて「大卒」となることも簡単にできます。

しかし、大学入学資格である高校を卒業していない人はどうなるのか?

そこに着目したのが本書で、通常であれば、いわゆる大検(高等学校卒業程度認定試験)に合格してそれから一般大学を目指すというのが、よく知られた方法ですが、実際問題大検って難しいです。問題をチラッと見たことがありますが、いまの私、受からないだろうなぁというのが第一印象。

実際問題、高校を卒業していない人が大学生を目指すというのは、かなり労力と時間を要する道のりです。

そこで、松本肇さんが提唱しているのが「特修生制度」というもの。

特修生制度とは

これは知っている人は知っているけど、知らない人はまったく知らないという裏技みたいな、でも正式な国の制度です。

実は通信制大学の中には、卒業を目指さない「科目履修生」であれば、高卒でなくても入学を認めますよという制度を持つ大学が複数あるんだそうです。ただしこれは科目履修生ですので、在籍は1年間しか認められません。ですのでいくら単位を取っても大卒にはなれないのですが、、、、

ここで出てくるのが「特修生制度」。大学入学資格がない科目履修生であっても、所定の単位(放送大学の場合は16単位)さえ取れれば、大学で勉強を続けていくだけの学力があると認めて、正科生として認めましょう、というルールがあるんです。

つまり、中卒 → 通信大学科目履修生(入試はナシ) → 16単位(8教科)取得 → 正科生に格上げ = 正式な大学生!

というわけです。

中卒の人が、高校3年間を一気に飛び級して大学生になれてしまうという不思議な制度。
それが選ばれし人だけが進める道ではなく、手続きさえ踏めば誰でも実現できるという摩訶不思議な現実。

大学生になってしまえば単位を取るのは簡単

私自身、いま放送大学に籍を置いていますが、はっきり言って単位取得は簡単です。科目さえ選べば勉強しなくても常識的に単位認定試験は通りますし。

つまり本のタイトル通り、思い立ちさえすれば「誰でもイキナリ大学生」になれちゃうんだそうです。

まあ、大学生になったとして、あとは根気よく4年間の通信教育を続けることができるか、という問題もありますが、そのあたりのフォローの仕方も、松本さんならではの視点でおもしろかったです。

大学を中退しても、実質高卒資格が残る!?

結論は、「一度大学生になってしまえば中退したっていいんだよ、それだけで高卒扱いになっているのだから」、というもの。

この理屈、わかります?

履歴書に最終学歴として○○大学中退とあれば、当然大学入学資格があったということになりますよね。つまり就職などでの扱いは「高卒」と見なされるというわけ。

高校を卒業していない人が大学生になっただけで、高卒資格を取得したと同じ意味を持つということですね。

看護学士の本でもそうでしたが、松本さんの本を読んでいると、「学歴」というのは一種のペーパーライセンスで、本質的な意味はないんだなということを強く感じます。あっても特別なことはないけど、ないと困ることがある。

学歴=知性の尺度・できるできないの尺度

ではないと思います。

社会も本当は中身の人間性を求めているけど、それを判断する尺度が難しい。そこで学歴というわかりやすいメジャーに頼らざるを得ない。本当は学歴が仕事とは関係ないことはわかっているけど、致し方なく学歴という基準で照らして今まで来ている。

本質的な意味がないのだったら、とりあえず形だけでも書類を整えてやればいいじゃん、という気楽な考え方、私は好きですね。

学歴がなければ、人間そのものの評価も受けられないなんて、おかしな話だけど、それが現社会の現実。

だからこそ、賢く生きましょう、ってことですね。

最後に本の中から言葉をひとつ。


「学歴社会にのまれるな、学歴社会を利用しろ」

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コメント

  1. 松本 より:

    めっつぇんばーむさん
     
    こんばんは。
    拙著をお買い上げ、誠にありがとうございます。
     
    看護とは直接関係ありませんが、放送大学で学ぶための基本的な心構えが書いてありますので、ぜひお読みいただけると嬉しいです(^^;)。
     

  2. 神崎春沙 より:

    こんにちは。はじめまして。
    神崎春沙と申します。
    相互リンクのお願いに参りましたm(_ _)m
     
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    よろしくお願いしますm(_ _)m
     
    神崎春沙
     
     

  3. 管理人 より:

    松本さん、お返事遅くなってしまいましたが、新著、さっそく読ませてもらいましたよ。そうそう、本文では取り上げませんでしたが、放送大学攻略本としてもお薦めだなと思いました。
     
    神崎春沙さん、はじめまして。
    すばらしいコンセプトのサイトを運営されているですね。
    うちも気付けば、なんとなく相談所的な感じになっているなぁと感じる今日この頃。神崎春沙さんの掲示板の方も応援させていただければと思います。

  4. みみ より:

    その本の事も知らないし放送大学のことを言う気もありませんが、通信制大学を卒業した身として一言、通信はそんな甘くないと言いたいです・・・。
    私は卒業に8年かかりました。通信制はたいていは働きながら学んでいる方がほとんどですし、自分で自己学習していく形って本当にモチベーションを維持することが難しいんですよ。
    ほとんど自分との戦いです。
    入学する人数より卒業していく人数が、かなり少ないのが現実です。