白衣の天使 日本のナースを表すみごとな言葉

看護師を指す常套句、白衣の天使

なんとなくのイメージで捉えがちですが、意味をよく考えると、なるほどみごとな表現だなと気づきます。

天使は神と人間の橋渡しをする存在


天使とは何かというと、キリスト教の中では、神様と人間をつなぐメッセンジャーです。

天上界にいる恐れ多い神様と、外界にいる下々の人間を橋渡しする存在。

 

そのうえで、ナースが「橋渡しする存在」だとしたら、何と何をつないでいるのか、と言ったら、おそらく医師と患者。

 

パターナリズムに象徴される昔の医師・患者関係のイメージで言ったら、まさにそうですよね。

偉いお医者さんが言う難しい言葉を噛み砕いて患者さんに伝える存在。

患者さんは医師の前だと言いたいことも言えないから、看護師を通して意思に希望を伝える。

そう考えると看護師はまさに間を取り持つ天使です。

天使は自由意志を持つことは許されない

宗教学を勉強した方やクリスチャンの方はご存知のことと思いますが、天使の大きな特徴は、神様の意思で手先となって動く存在であり、自由意志を持ってはいけないということです。

天上界から動くことができない神様の手となり足となり目となり動くのが天使であって、その役割は上から下への実力行使か、情報伝達だけ。自己判断はできない、というか、してはいけない存在なのです。

 

これも日本の看護師の「実態」を表している気がしませんか? 理念とすれば「そうじゃない!」と言われそうですけど、病院の中の実情をみると、あながち否定はできない気がします。

自由意志を持って行動した天使はどうなったか?

医師からの指示が正しくないとしても、そこを物申してはいけないわけです。

看護師はあくまでも「診療の補助」であって、治療行為に責任をもつことはできません。たとえ間違った不適切な指示であっても、責任を取るべき立場の医師がいうことなら、それに従うのが看護師。

そこで自分の意思で判断し、行動することは命令に背くことであり背信行為。仮にそれが正しかったとしても、業界の中ではルール違反ですから、その世界からは追放されることになります。

 

天使の世界でいうと、それが堕天使です。

自分の意志で判断し、行動した結果、神様の怒りに触れて天上界を追放されて地上に落とされた天使。それが堕天使であり、サタン(悪魔)と呼ばれています。

これも宗教を勉強した人やクリスチャンは周知の点ですが、サタンというのはもともとは天使、それもかなり位の高い天使だったのです。

それが自分の能力の高さにうぬぼれを示し、自己判断で行動した結果、追放されたのです。

病院の中の実態

今、病院組織の中を見回してみてもおかしなことはたくさんあります。

患者さんに関すること、効率の悪い業務体制のこと、労働環境のこと、先輩後輩関係、などなど。

法的に言っても違法じゃないかということは多々ありますが、そこをマジメに指摘してどうにかしようとすると、真正面からも横からも圧力がかかり、結局、職場にいられないようになります。

それがわかっているから、みんな「おかしい」と思っても声を上げることすらせず放置するのです。

病院組織における神様は、医師なのか、診療部という組織なのか、看護部という組織、病院という法人なのかよくわかりません。

誰の指示により、何を守ろうとしているのかはわかりませんが、みんな見て見ぬ振りして、何かを守ろうとしています。

それが明文化されている力ではないのが不気味なところ。

私は堕天使

私の勤務していた病院で長年行われていた注射薬液の使い回し(感染という問題と保険点数の不正請求の問題)、アルコール消毒だけで滅菌しない手術器具の使いまわし。

どう考えてもおかしいことなのに、誰も声を上げず放置されてきた実態を目の当たりにしました。

おかしさに声を上げたのがナースになって2年目くらい。

周りの反応は芳しくなく、でもおかしいと考えた私は、8年ほど声をあげつづけて、最後は力づくでこの問題を是正したら、退職勧告に。

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そんな経験から、ナースはやっぱり天使だと思うのです。