院内研修や看護記録の入力も仕事のうち。もちろん残業代が出ます

ナースの残業代について、新聞報道がありましたので、クリップしておきます。

残業代3千万円未払い 愛知の蒲郡市民病院

2019/3/10 17:00

愛知県蒲郡市の蒲郡市民病院が2016年4月からの2年間、看護師と助産師計148人に残業代など計約3千万円を支払っていなかったことが、10日までに病院への取材で分かった。研修などの時間が勤務時間として算入されていなかったためで、病院は3月の給与日に追加支給するとしている。

病院によると、豊橋労働基準監督署が17年11月、看護師らの自己申告よりも、タイムカードに記録された労働時間の方が長いと指摘したのを受け、病院が調査を実施。その結果、看護師らは申告した時間以外に、研修や看護記録の入力などをしていたことが判明した。

16年4月~18年3月にかけて申請されなかった時間外勤務は計約1万3千時間で、計約3071万円分に相当。1人当たりの未払い残業代は最大で約96万円だった。

病院の担当者は「今後はタイムカードと自己申告された勤務時間の差を随時確認し、研修の回数や実施時間など業務を見直して、働き方改革に取り組みたい」と話した。〔共同〕

日経新聞ウェブより

この病院ではタイムカードを導入しているようですが、タイムカードの記録とは別に残業代の申告を求めていて、その数字の食い違いが問題となったケースです。

業務終了後の研修とか、看護記録の入力に関しては、時間外勤務申請を認めていなかったんでしょうね。当然ですが、看護記録を書くことはもちろん、就業上必要な強制参加の研修であれば、賃金が発生します。

病院は、2年間の未払い残業代を3月分の給料と一緒にまとめて支払うことになったようです。

148人に対して3千万円ですから、単純計算で一人あたり203万円! 記事によるといちばん多い人で96万円だそうで、3月の給与明細、100万円を超えちゃいますね!

逆に言うと、2年間の間に96万円も搾取されていたというわけですよね。96万円と言ったら盗まれたら大騒ぎする金額。こう考えると、残業代を踏み倒すっのて悪質な犯罪行為です。公立病院でもこういうことを平気でやってるわけですね。

未払い賃金を取り返せ! この報道から学べること

この報道から学べることをいくつかピックアップしますと、、、

看護記録、委員会の資料作成等の事務仕事も立派な業務です

書類作成や事務仕事も立派な仕事。あたりまえの話ですけど、看護師の業務を看護実践と考えた時に時に軽んじられがちな部分かもしれませんね。看護記録が終わらないのは仕事が遅いからだと言われがちですが、業務契約上、給与は時間に対して支払われる体系になっている以上、臆することはありません。

記録が終わらないのは、若い人に多い傾向があるかもしれませんが、だから、勤続年数に応じて時給単価が違っているわけです。

参加必須の研修は「業務」です

看護の世界では、「自分のためでしょ!」とか言われがちですが、業務上必要な研修で強制参加だったり、参加しないことによってペナルティが課されるようなものであれば、それは業務時間内に行わなければなりません。

研修が業務時間外に設定されている場合は、割増賃金を乗じた残業代が支払われます。また、業務シフトの関係上、夜勤明けや休日に研修に参加した場合は、振替休が発生するかもしれません。

例えば、病院だと年に2回の安全研修が義務付けられていますが、これは間違いなく業務の一貫です。

記録が残っていたから、未払い分が支払われた

今回、一人あたり100万円近い未払い賃金が返ってきたのは、タイムカードという記録と残業代申請の記録が残っていたからです。もしタイムカードという客観的なデータがなければ、この支払はなかったはずです。

時間外申請したのは何時までだけど、実際は何時まで残って仕事をしていたという記録があることが重要です。

タイムカードがない場合は、自分自身で帳簿みたいに記録を残しておくことも証拠としては有用です。

あとは電子カルテであれば、自分のアカウントでログインしていた時間とか、ログアウトした時間ということで、客観的な時間記録は残るかもしれませんが、病院としてはそういった記録を提供してくれないでしょうから、なんかしら自分で記録を残しておくことは重要ですね。

未払い賃金の時効は2年

今回、過去2年間にさかのぼって支払いがされたのは、賃金の時効は2年だからです。逆に言うと2年以上の前の未払金は返ってきません。

このことから、病院を辞めることを考えているのであれば、辞める前の2年はきっちりと実働の労働時間を記録しておいて、辞める時に2年分の未払いを請求するというのが現実的かもしれません。

在職しつつも個人として未払いをもとめると波風が立つというのであれば、せめて辞めるときには。。。

今回の報道では、看護職員が労基に訴えたんでしょうかね。

その人も、もしかしたら、退職を機にそのような行動に出たのかもしれません。

その結果、他の職員たちは棚ぼた式に残業代が返ってきたという図式なのかも。さらには今後、その病院に勤める人たちにとっては劇的な労務改善がされたわけですね。

その他、残業代あれこれ

その他、ナースが意外と知らない労働法規のキホンをいくつか、列記しておきますね。

  • 超過勤務申請は1分単位で・・・・数分で月単位で累積すればそれなりの金額になります。15分以下は切り捨てとか、ウソです
  • 朝の情報収集・・・・業務上求められているなら、それも超過勤務
  • 看護研究も仕事のうち
  • 委員会の持ち帰り仕事も業務時間内で行うもの

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