さて、3月に入り、今年度いっぱいで病院を退職、転職する人は有給消化に入ってバカンスを謳歌している頃でしょうか?
私が病院を辞めたときは、退職勧告で、さっさと出て行けという感じでした。私は辞める気はなかったんですが、明日からもう来なくていいから、と看護部長に言われ、退職日は有給消化後の日付でいいから、と机の上に用意されていた退職届の書式を渡され、、、
なんて、私の話は、いいとして、、、、
ふつう、ナースが病院を辞める際には、有給消化をするという文化はあまりないみたいですね。
私の勤務していた公立系の病院でも、有給消化といったら、「はぁ? なに言ってんの? あんた辞めるんでしょ? 人に迷惑かけるのに、どこまでずうずうしいの??」みたいな空気感でした。
私自身は、仮にそんなことを言われても負ける気はまったくしなかったのですが、まさか看護部長が自分から有給消化を、と言ってきたのは想定外。よっぽど私に辞めてほしかったんでしょうね。
さて、3月に入ってからのこの時期では、ちょっと遅いかもしれませんが、病院を辞めるなら有給休暇は使い切りましょう、という話を書きたいと思います。
有給休暇の金銭価値
私は、記憶している限りで、年次有給休暇(年休)を捨てたことはありません。
年休は毎年追加されていきますが、時効が2年なので、使わないと2年で消滅します。もったいない!
だって考えてみてください。年休というのは、その日は出勤しなくても出勤したのと同じ給料を出しますよ、という意味なんですよ。
ナースの日当っていくらくらい? 給与明細を見ればわかると思いますが、新人であっても1万〜2万円はあるんじゃないですか?
つまり年休を時効で捨てるというのは数万円をドブに捨てているようなものです。
仮に退職時に30日くらい有給が残っているとしたら、、、、30万〜60万円を捨てるんですか? 私にはそんな勇気はないです。
有給休暇は労働者の権利 請求したら病院は拒否できない
これは労働者としての常識ですが、有給休暇は職場(病院)の許可を受けて取得するものではありません。
労働者の権利です。
しかも、かなり強めの権利で、その請求をしたら、病院は基本的に拒否できません。唯一認められているのは時季変更権だけ。つまり、その日以外の別の日にしてね、としか雇用者側は言えないのです。
その時季変更権にしたって、おいそれと行使できるようなものではなく、忙しいからとか、人手が足りないから、とかそんな程度では認められないものであるとされています。
つまり、実質的に有給申請したら、拒否られることは通常はないと言ってもいいくらい。
ついで言うと、有給休暇申請には理由は不問です。
「有給休暇は病気のときに使うものなのよ」みたいな嘘に騙されている人もいるみたいですが、有給休暇取得に理由はいりませんし、理由を書く必要もありません。失恋したから、でも、ライブに行く、でも、なんでも。
私はいつも有給申請の理由欄は空白で申請していました。
法的な論争では負けるから、暗黙の圧力で攻めてくる
法的に言ったら、病院側は有給休暇申請は拒否できないものですから、師長あたりは、別の切り口で圧力をかけてきます。
「社会人としてありえない、非常識!」
「有給休暇っていうのは、病気のときに使うものなのよ」
「給料をもらっているだけありがたいと思え。図々しい!」
など。
場合によっては、職場の同僚などを巻き込んで同調圧力で、撤回させようとするあたり、ズルいですよね。
ただ、真っ向から攻めれば負けようがないのは明白ですから、結局は「和を重んじる」というもっともらしい理由をつけて、折れるか、それともふつうに貫くか、それは各人の価値判断と決定なんでしょうね。
得する病院の辞め方
年次有給休暇というのは、そのような性質のものですから、有給が取得できないということは基本的にはありえないです。退職時についても同じ。
ただ、退職の場合は、退職日以降に休暇を取るというのは、物理的に無理ですから、退職日の設定は気をつけなくてはいけません。退職日を先に決めるのであれば、有給休暇を消化できるだけの日数を確保しておくこと。
そもそも病院組織というのは欺瞞に満ちたもので、退職は3月末日じゃないと認められないとか、平気で嘘を言いますから、ご注意を。
理想的な退職日は6月2日あたりなんじゃないかと思います。
大学医局からのローテーションで回ってくる医師の場合、退職日が6月2日ということ、多くありませんか?
これは就業規則によりますが、夏のボーナスの支給要件が、6月1日に在勤であること、というケースが多いからです。
退職するというのは、雇用契約の問題になりますが、労働者は2週間前に通知すれば、いつでも雇用契約を解消できることになっています。
就業規則で1ヶ月前に申し出ること、となっていたとしても、就業規則より労働法規の方が上位ですから、2週間後以後であれば、いつでも好きな日に辞めることはできます。
そこまで権利をゴリ押しすることもないかもしれませんが、知識として知っておくことは意味があるでしょう。
悪質なパワハラに負けない
病院を辞めたいけど、辞められない。
そんなブラックな悩みを抱える看護師は少なくありません。基本的にどんな病院でもあっさり円満退職ということはなく、はぐらかされたり、脅されたり、いろいろあるんじゃないでしょうか?
ただ辞めるだけですでに疲弊してしまうから、有給消化まで頭がまわらないのかもしれません。
有給消化なんて口にしようものなら、師長とかまわりのスタッフから、ひどい言われよう、というのはよく聞く話。
さらには、看護部長から「他の病院で就職できないようにしてやる」みたいな脅し受けたというのも珍しい話ではありません。
いままでそんな相談にはいくつも乗ってきた私ですが、私自身がそんなことになったら、思う存分戦ってやるのに、と思っていましたが、あいにく内部告発の末に退職勧告という形だったので、ある意味、残念。
いずれにしても、それらは悪質なパワハラですから、あらかじめ録音の準備をして部長面談等に望むことをおすすめします。録音ができない場合でも、言われたことは日記など記録に残しておくだけでも意味があります。
他の病院で就職できないようにしてやる、的なことは単なる脅しなので気にしないように。
そのためにも記録を残しておくことと、あとは「労働基準監督署に相談します」という一言も結構効きます。
その他のキーワードとしては、内容証明郵便とか、弁護士とか、司法書士とか。
私は1ヶ月ちょっとの有給消化、楽しませてもらいました。
社会的身分がありつつ、給料をもらいつつ毎日好き勝手なことができるって、この上ない優越感というか、セレブな感じでしたね。
ぜひ皆さんも退職時の有給休暇を満喫できることを願っています。