看護師の業務拡大

看護師の業務拡大を巡って、すごいニュースが飛交っているようですね。
 
<規制改革>医師負担軽減で看護師の薬処方解禁…医療分野案
 
 政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)が2次答申に向けまとめた医療分野の規制緩和策の原案が6日、分かった。
 最優先課題に医師不足対策を掲げ、医師の負担軽減のため看護師などが行える医療行為の範囲を広げる法改正を08年度中に実施することなどを盛り込んでいる。
 また、医療従事者の派遣解禁や、入院日数短縮のため、患者がいくら入院しても病院には一定の報酬しか払わない「定額制」導入も明記した。
 今月下旬をメドに最終案をとりまとめる予定だ。
 
 答申は医師以外の医療従事者も医療行為ができるように医療関連法を改め、勤務医の負担を軽減するよう求めている。
 
具体的には
(1)看護師による感冒、便秘、不眠、高血圧、糖尿病などに対する検査、薬の処方
(2)助産師による正常分娩時の会陰切開、縫合
(3)訪問看護における看護師による死亡確認や薬の処方
などの解禁を挙げた。
 
 医師の派遣については、06年4月から産休の代替要員としての派遣のほか、へき地への派遣が認められたものの、解禁はされていない。
 また派遣元、派遣先とも医療機関に限定している。
 答申は07年度中に労働者派遣法の政令を改正し、禁止業務から医療従事者を削除することで、派遣業者でも医師や看護師を派遣できるようにし、派遣先も医療機関に限定しないようにすべきだとした。
 医療従事者がボランティアで救命手当てをした場合、事故が起きても免責されるよう08年度までに法整備することも指摘している。
 
 また、入院医療費削減のため今の「1日単位」の定額制を改め、「1入院単位」とする「診断群別定額払い方式」を07年度中に導入。
一律の医療費を治療結果によって変える「医療の質に基づく支払い」(08年度検討開始)、医療機関に病気ごとの治癒率などを公表させ、患者が病院を選択できる情報公開(07年度検討)なども盛り込んでいる。
 同会議は、混合診療の解禁についても検討しており、最終的に答申に盛り込む方針だ。
 
「医療従事者の役割分担の見直し」については、政府の経済財政諮問会議も検討するよう求め、厚生労働省は年内に結論を出す。(12月7日2時31分配信 毎日新聞)

 
 
「看護師による感冒、便秘、不眠、高血圧、糖尿病などに対する検査、薬の処方」を認めるというのにはびっくり。日本の看護師もやがてはアメリカのナース・プラクティショナー Nurse Practitioner 並になるのかなという期待はありましたが、まさかこんなに早く現実問題として議論されようとは驚きました。
 
こういう話ってだいたいは日本看護協会が反対して潰れるのが常なのですが、今回はどうなんでしょう?
 
私としては看護協会のようながっちりとした職能団体が確立していない救急救命士の方が、今後業務拡大を続けていくんだろうなと予想していたのですが、この展開はほんと驚きました。
 
ナースに検査・処方を認めるってすごいことだと思いません? 当初は感冒程度という限定付きですけど、この大きな関所を突破すれば後は時間の問題です。
 
これが良いことなのかどうかについては触れるつもりはありません。
 
現在の看護師教育内容からすると、明らかにオーバースペックなのは事実だと思います。
 
こんな制度が現実のものになるとしたら、恐らく3年制専門学校で看護師免許を取るという道は完全廃止になるでしょうし、4年制の看護大学も6年制へ移行という流れが出てきてもおかしくないと思います。
 
あとは既得の看護師免許保持者に対する教育をどうしていくのか?
 
なんだか看護界もおもしろいことになりそうです。
 
 
追記:心肺蘇生インストラクターをしている立場から言えば「善きサマリア人法」の日本版が作られようと言う動きも大歓迎です。ただし、医療従事者が、、、という限定詞がつくのがちょっと疑問。市民に関してはもともと免責があるから、という意味なのかなぁ。その辺が実はとっても重要なんですけど、、、


 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. K より:

    はじめましてmetzenbaumさん。現在看護学生のKと申します。最近こちらのブログを拝見させて頂き、とても興味深い内容が多く楽しませていただいております。自分もAHA-BLSやICLS受講そしてタスク参加なども行っております。卒業後は本格的に活動に参加していこうと考えております。
     
    このニュースは特に最近自分自身も気にかかっていました。
     
     
    どうやら徐々に話しは進んできているみたいです。
     
    看護師・助産師の業務拡大=規制改革会議の第2次答申案
       (12月13日17時1分配信 時事通信)
     
     政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)がまとめた第2次答申案の全容が13日、明らかになった。答申案は「生活に身近な分野に焦点を当てた」とし、看護師や助産師が行える業務範囲の拡大や保育所の改革などを盛り込んだ。今月下旬に福田康夫首相に提出する。これを踏まえ、政府は2008年3月に規制改革の3カ年計画を策定する。
     答申案は、医療分野では医師不足解消が最重要課題と指摘。医師の過重負担の軽減策として、現在認められていない看護師による簡単な検査と薬の処方や、助産師による会陰切開などを解禁するとした。また、地方の医師不足を補うため、現在医療機関に限定されている医師の派遣業務を一般の派遣業者にも認めることを検討する。
     
    おそらくこういった動きはいずれあるのだろうと自分も考えてはいました。しかし、ここまで早い段階でという事に正直驚いています。 
     
    表向きには看護師の地位向上・・・しかし裏を考えると医療費抑制といった目的がみえます。アメリカでは医療保険制度が整っていないため、治療費が抑えられるようナースプラクティショナーの存在があるという話もありますし・・・。
    そして一番の理由としては、2012年をめどに38万床ある医療保険適応・介護保険適応の病床のうち、23万床を老健・有料老人ホーム・在宅介護へ移行するといった国の動きが根底にあるんでしょうね。
     
    いぜれにせよ、教育面が一番の問題になりますね!

  2. 紗英 より:

    看護師の業務拡大には賛成ですね!
    過疎地などの医師が不足しているところでは、看護師さんがある程度医師の指示を仰ぎながら治療してもいいのでは…。
    経験豊富な看護師と経験不足な医師とでは、看護師の方が適切な処置を出来るかもしれませんし。

  3. よっちん より:

    はじめまして。早速ですが質問です。
    腹腔内で使用した器械は不潔だと教わりました。その根拠というか清浄度の分かる表みたいなのってありますか?SSIがななんとかって聞いたのですが、調べてもよく分かりません。

  4. 管理人 より:

    すっかりお返事が滞ってしまっていて申しわけありません。
    Kさん、看護の学生さんですでにBLSやICLSを受講されているんですね!
    頼もしいです。学校でお忙しいとは思いますが、せっかくでしたら学生のうちにインストラクター資格を取ってしまうことをお薦めしたいと思います。集中的に経験を稼ぐには長期休暇がある学生の方が効率的ですし、それに就職したときにすでにインストラクターです、ってかっこよくありません? 救命士の学生さんですでにAHA-BLSインストラクターって方は結構いらっしゃいます。看護学生さんでっていうのはまだ珍しいかも。就職活動の武器としてもいかがですか?(笑)
     
    ナースプラクティショナーに関しては佐賀県だったか、経済特区かなにかで大学院での教育がはじまったというニュースを聞いたことがあります。進みのはやい遅いは別にして日本も確実にそういう方向性になっていくんだと思います。
     
     
    よっちんさん、ご質問の件ですが、今は清潔・不潔という単純な分け方ではなく、もうひとつ準清潔という概念で考えるようになってきているようです。このあたりの話でしょうかね? それとも消化管を吻合したりするときの不潔操作の話なんでしょうか? 根拠をすぐに提示することはできないのですが、おそらく清潔不潔の根拠といえばCDCガイドラインが原典になっている場合が多いのでそちらをあたってみると答えが見つかるかも知れませんよ。