ACLSプロバイダー(G2005)を受講する人へのアドバイス

先日、ガイドライン2005バージョンのAHA-ACLSプロバイダーコースを受講してきました。
そこで、これからACLS受講を考えている方へのアドバイスをいくつか。

まず結論を言います。

ガイドライン2005のACLSコース、かなり簡単になりました。

今まではナースにとってはちょっとヘビーかなという印象もありましたが、2005バージョンのACLSプロバイダーコースならICUやER勤務以外の看護師でも大丈夫。

興味がある人は誰でも受けて下さい、という位に現実的でシンプルにわかりやすくなりました。なんだか難しそう、と後込みしていた方も、ぜひ受講をオススメしたいと思います。

AHA-ACLSプロバイダー・コースが扱う範囲はこれまでと変わりません。

10個の核となるシナリオ、ということで、呼吸停止、CPR+AED、心室細動/無脈性心室頻拍、急性冠症候群、徐脈、安定した頻脈、不安定な頻脈、心静止、無脈静電気活動、脳卒中に関して、初療で行うべき二次救命処置をシュミレーショントレーニングを含め、学んでいきます。

やることは同じなのですが、中身がだいぶ整理されたというか、最低限やるべきことに特化されましたので、これまで難しいとされていたPEAの原因究明なども具体的な方向性を示さなくても「原因究明を考える」ということが明示できれば実技試験(メガコード)もパスということになりました。

QRS幅が広い安定した頻脈の場合なども、専門医にコンサルトするという方向性が明確に打ち出されていて、ACLSの範疇からは事実上、除外されました。

結局のところ大切なのは効果的なCPR、つまりBLSが大事なんだということで、ACLSの中でも胸骨圧迫の大切さが何より強調されているのが印象的でした。これまでACLSのシンボルでもあった気管挿管も今は参考程度に体験するだけで、実技試験にも挿管は含まれません。

なぜなら挿管に手間取って胸骨圧迫の中断時間が長くなってしまうのが問題で、バックマスク等できちんと換気ができていれば挿管する必要はないというのがガイドライン2005のACLSの基本コンセプトです。

ということで誰もが心配する実技試験(メガコード)に関しては、ふたつのパターンしかありません。

・頻脈(PSVT)→迷走神経刺激→VF→PEA
・徐脈→経皮ペーシングの準備をしている最中にVF→心静止

このシナリオはテキストにもはっきりと明示されています。(英語版p.125~)
つまり実技試験の問題は最初からテキストに書かれているということなんですね。

ACLSの守備範囲には脳卒中なども含まれていて、ずいぶんと範囲が広い感じがしてしまいますが、実技試験に関しては、PSVTに対する迷走神経刺激+アデノシン、徐脈に対して経皮ペーシング、それにICLSでもおなじみのVF/Pulseless VTへの対応、PEA/心静止のアルゴリズムだけを押さえておけばOKです。(もちろん他が不必要というわけではありませんよ。最重要事項はココというお話しです)

筆記試験の方は、4-5問だったかな、心電図も出てきますが、総じて簡単です。

ACLS Providerマニュアルの付属CD内にあるプレテストの内容の中から出題されます。どちらかというとプレテストの内容をもっとシンプルにわかりやすくしたのが筆記試験と考えていいかと思います。

◆ ICLSとAHA-ACLSの違い

日本救急医学会のICLSは心停止した人に対する初療を学びます。それに対して、AHA-ACLSは、心停止の一歩手前の人へのアプローチも含めて学ぶコース。

心停止になって慌てる前に、実はできることがあるという点を学べるのは大きいと思います。ACLSを知っているとアルゴリズムが明解に示されていますので、危険な状態かどうかがある程度判断できる。

受講料が高いのがネックですが、ぜひナースにも積極的にACLSコースを受けてほしいと思っています。日本語版のACLSプロバイダーマニュアルも今月12月20日に発売予定ですし、以前のようなハードルの高さはだいぶなくなりました。

気軽な気持ちで受けてもいいんじゃないかと思います。

追記:ついに念願のACLSプロバイダーマニュアル日本語版が発売開始になりました!

ACLSプロバイダーマニュアル 日本語版(G2005)

出版元がこれまでの中山書店からシナジーという会社(出版社?)に変更になっているのでご注意下さい。価格は6,720円也。

聞くところによると、ヘルスケアプロバイダーマニュアルと同様、CD-ROMの付録は省略されているようです。受講に際して必要条件となっているプレテストは印刷された形で付属するらしいです。

日本語のテキストができたとあって、今年一年くらいはACLSコース受講ラッシュが起きそうな予感。受講希望者は早めに受講申請した方がいいと思いますよ。

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コメント

  1. バニー より:

    こんばんはー。
    やっとACLSの日本語版の発売となりましたね!!
    自分としては英語版をついこの間買ったばかりでしたのでちと複雑な気持ちです・・・
    でも、出る出ると言われていたので仕方ないですよね(ポリポリ
    今日早速注文を出したので、届くのが楽しみです。
    英語版と見比べるのもいいかもしれないですね。
    後、ブログ拝見させて頂きましたが、それ程難しくないようですね。
    自分としてはかなりドキドキしていたのですが、安心しました。受講する際には思いっきり楽しんで勉強させて頂きたいと思っています。
    新潟は2月ですので、早く2月にならないかなーってワクワクしております。
     
    追記
    確か、3月にJNTECがまた大阪であるそうです。前回は残念ながら受講を見送られてしまいましたが、またリベンジで申し込んでみます。
    でも多分無理かもって気がします・・・
    あー大阪なのでお金が・・・
    ちと眩暈がしてきますね(泣
     
     

  2. 管理人 より:

    バニーさん、AHAコースではいつもそうですよね、英語版テキストは持っているけど、日本語版が出るとつい買ってしまう、、、
    それにしてもガイドライン2005になってから日本語版の値段が高騰してしまったのは一体何なんでしょうね? 個人的には非常に腹立たしいです。あとはインストラクター用のDVDなど、ガイドライン2000ではばら売りしていたのに、今度はインストラクターマニュアルと抱き合わせ販売しかしないという戦略。これでまた余分な本が増えてしまった、という感じです。
     
    バニーさん、受講が2月に決まっているんですね。
    下手すると周りはドクターばっかりですけど、決して難しくはないので気楽な気持ちでいってきてくださいね。
     
    JNTECはまだ狭き門が続いているんですね。