急変対応スキルはショックの病態理解から始まる

今月号の 月刊ナーシング誌 のサブ特集記事、良かったですよ。

初めての人のための
ショックの知識
気づきのサインもまずはここから



「最近、『急変は起こる前に察知しよう』という気づきトレーニングなどの重要性が言われています。しかしこれらのサインを見抜き、評価するには方法を知るだけでは不十分で、そのとき患者の身体の中でなにが起こっているかを正しくイメージできることが不可欠です。そしてそれは、実はショックという病態を理解することに他なりません」(記事冒頭より引用)

月刊ナーシング「初めての人のためのショックの知識」


そうなんですよね。

「気づき」もそうだし、ファーストエイドの傷病者アセスメントも、肝心かなめはショックの病態を理解すること。

人が命を落とす原因って、突き詰めれば呼吸のトラブルか循環のトラブルか致死性不整脈のどれかで、循環のトラブルというのが、ショックのこと。

この人間が死に至るメカニズムを理解していないと、死への進行を食い止めることはできない。

ショックの仕組みと人が死ぬ理屈がわかると強いです。

実はこのあたりのことって市民レベルのファーストエイドでも大事だったりするんですよね。

市民向け外傷コースといえるウィルダネス・ファーストエイドでは、主に出血・脱水に起因する循環血液量減少性ショックと、アナフィラキシーに代表される血液分布異常性ショックの病態はかなり詳しく教えこまれます。

それだけやっぱりファーストエイドでは大事な基本概念だってこと。

ショックは血圧が下がることとイコールではないし、血圧が下がるまで待ってたらある意味、看護師失格。

ショックはその前から始まっていて兆候はちゃんと出ているはずなんだから、代償性ショックのうちに気づいてどうにかするのがベッドサイドにいるナースの役割。

心臓が停まってからの対応なんか知っていたってどうしようもない。

医者はいいですよ。心臓停まってから呼ばれてくるんですから。でもナースは違うでしょ?

BLSとかACLSはもともと医者向けの教育。だから心停止から始まる。

でもナースは違う。ナースの急変対応は心停止を食い止めるとこから関わっているのだから。

難しい印象があるかもしれないけど、市民ファーストエイド教育でも教えられているくらいのものなんですから、ナースならショックの基本理解は、是非って思う。

ショックの時に足を挙上するっていうのも、今では否定されているのも知ってました?

今回の記事では、いまいち歯切れが悪い書き方だったけど、ファーストエイド国際ガイドライン勧告では明確に否定されているし。

BLSから始まる急変対応教育の時代は終わりました。

まずはショックの理解からはじめましょ。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. aki より:

    はじめまして。
    私は手術室で1年看護師をしております。
    ふとしたきっかけで、院内やAHA主催のBLS、ICLSに参加し緊急時のことについて勉強することが楽しく目覚めたのですが。
    この内容を見て、自分の考えが甘いな~と、知識が薄いな~と感じました^^;
     
    ここで言っている「ファーストエイド国際ガイドライン勧告」というのは
    ガイドラインとして本が出ているのでしょうか?
    看護師としてショックを未然に防ぐことについて深く感心があります。
    よろしければ教えてください。