災害支援ナースの心構え(準備 | その他)

この数日、災害支援活動/ボランティアにあたっての心構えや準備について、「アウトドア」の視点からあれこれ書かせてもらっていますが、これらは長年の趣味の登山/トレッキングの経験と、山岳診療所でのボランティア体験からのもの。

今回の東北地方という土地柄や被害状況を特別に加味したものではなく、一般的な話なので、その点、留意いただけたら幸いです。

さて、DMATの活躍する時期はとうに過ぎ、そろそろ民間のボランティアも現地入りできる状況が整いつつあるようです。

現地の受け入れ態勢が整ったとしても、やはり被災地に赴くときはいつも意識しておきたいのは「自己完結」の精神。

どなたかが書いてましたが、「自分の排泄物を持ち帰る覚悟がない人は、現地ではなく後方支援にあたるべき」というのが、自己完結の覚悟を端的に表していると思います。

この先はそこまで求められることはないかもしれませんが、「勘違い」からくる現地でのトラブルを避けるためにも、覚悟と準備、正しい知識は不可欠。「気持ち」だけでは迷惑で終わるパターンが多いというのは阪神大震災での教訓。

前回は、必要不可欠なヘッドライトの話を書きました。

今日は、その他のものについてざっと解説します。

・ヘッドライトと予備電池
・携帯電話と予備電池
・個人用ファーストエイドキット
・作業用皮手袋(軍手)
・ウェットティッシュ類(大判のものも)
・タオル類
・マスク
・ビニール袋多めに
・室内履きの靴

携帯電話と予備電池に関しては、通信網がダウンした状況ではどうしようもありませんが、使えていれば不安定な被災地での唯一の通信手段になるものですから、バッテリー対策はしっかり考えておいたほうがいいです。

単三乾電池2本から充電できるアクセサリーがありますし、太陽電池で充電できるものも2千円弱くらいで手に入ります。あとは手回しで充電できるというものもあったりします。

携帯電話はたとえ電波が入らなくても、ディスプレイが照明代わりになりますし、写真撮影用の白色LEDがついていればなおさら好都合。

iPhoneなどのスマートフォンであれば、「治療薬マニュアル」や点滴滴下数の計算など、現場でも使えるアプリが充実しているので、オフラインでも有効に使えます。今の時期、医薬品の添付文書や、「家庭の医学」などが無料でダウンロードできる特別措置がとられていますので、ミニパソコンともいうべきスマートフォンを最大限に活躍するべきです。

個人用ファーストエイドキットは must have です。

体調崩して戦力にならないだけではなく、現地の貴重な医薬品を使うなんて支援者には本末転倒。自分が使いそうな薬や医材は絶対に持っていきましょう。意外と重要なのが下剤です。慣れない生活で便秘はほぼ必発と思っていたほうがいいです。

ナースが現地に行った場合、DMAT活躍期以外は、救護所の衛生管理や健康管理、病院業務の補助などが多いと思いますが、軽作業ができるような準備として手袋は是非。普通の軍手でもいいですけど、お勧めは皮手袋。ホームセンターに行くと、300円くらいから安い作業用皮手袋が売っています。

ウェットティッシュは多めに。シャワーは浴びられない状況で体をさっぱりさせたいのであれば、赤ちゃんのお尻拭き用とか介護用の大判のウェットティッシュが便利。膀胱炎を防ぐためにもこのあたりは有効。トイレ事情の悪さから飲水を控えて尿路感染というのはウィルダネス・ファーストエイドでもありがちな大きなテーマですので、ナースの皆さんはくれぐれもご注意を。

ゴミは基本は持ち帰りと思っていたほうがいいです。なのでビニール袋は多めに。もって行く食品などは最初からゴミにならないように過剰包装は取っておくのもポイント。

被災地ある歩くにはトレッキングシューズなど、アウトドア用の靴がいいに決まっていますが、活動する場所は避難所の体育館など、室内が中心と思うと、室内履きも重要。持ち運びに便利なのはスリッパですが、やはりかかとのついた靴の方がいいんでしょうね。手っ取り早くはナースシューズ。

次回は、医療支援に必要な器材について書きます。

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コメント

  1. 無事で何よりです、今度の地震は本当に怖いですね。

  2. つき子 より:

    初めまして、つき子と申します。m(_ _)m
     
    私も、この度の震災に心を痛め「何か出来ないか?」と思っている一人です。。
    現実では、節電と募金くらいしか出来ません。
    が、少しでも役に立つならと思い、震災・ボランティアに関わる情報を集めブログにUPしています。
    お差し支えなかったらリンク貼らせて頂きたいのですが、宜しいでしょうか?