なんでも日本看護協会が向こう1ヶ月で1000人の災害支援ナースを被災地へ送り込むそうです。
私の勤務先病院にも県からの要請(命令?)で、急遽、昨日スタッフが病院の救急車で現地へ向かいました。
出動要請は突然に。
ということで、被災地へ赴く際の準備についていくらか書いてみようと思います。
最初にお断りしておきます。
私自身は看護協会に登録された災害支援ナースではありますが、派遣された経験はありません。
これから書くことは主に私のこれまでの登山やアウトドア経験から書いています。
参考程度にご覧くださいませ。
1.準備
災害支援は「自己完結」が原則です。
自己完結 ― どういうことかというと、衣食住すべて必要なものは持参して、現地に負担をかけない、ということです。
自分たちの食べ物は持参するのは当然だし、水もできる限り。ベッドで寝られるわけでもありませんので、寝袋や床に敷くマットも。
これらは現地の受け入れ態勢がどの程度かにもよりますが、はっきりしない場合はすべて自分たちで持っていくつもりでいた方がいいと思います。
大げさにいえば登山と一緒です。テントや炊事器具、寝袋、食料、水、着替えをすべて背中に背負っていく。それに加えて災害支援ですから、医療器具や衛生材料なども必要。
ということで、話としてはそれなりに大ごとです。
実際にいく場合は、おそらくチームでいくことになると思うので、チームとしてどこまで準備してくれるのか、という点は要確認です。
特に寝袋やテントなど特殊なものは組織として用意してくれると思いますが、要注意。
寝袋といってピンきり。夏用と冬用ではぜんぜん違いますが、準備した人はそこまで考えて準備してくれているのかなって。
また、寝る場所は被災者同様、床と思っていたほうがいいです。
寝袋で寝たことがある人は当然知っていますが、寝袋だけで床には寝れません。キャンプや登山ではポリウレタンの断熱マットを敷いた上に寝袋で寝ます。このマットが重要で、これがないと地面から冷気でまず寝られません。
このマット、意外と盲点で忘れられがち。
私だったらあらかじめ、寝袋とマットはあらかじめ確認させてもらうか、私物を持参をします。被災者も眠れない夜をすごしているかもしれませんが、笑顔を絶やさないためにも支援者は眠りにはこだわるべきだと思います。
そのほか、個人装備として用意したいものを列挙しますと、
・ヘッドライトと予備電池
・携帯電話と予備電池
・個人用ファーストエイドキット
・作業用皮手袋(軍手)
・ウェットティッシュ類(大判のものも)
・タオル類
・マスク
・ビニール袋多めに
・室内履きの靴
・「今日の治療薬」←薬の事典
・聴診器
・アネロイド血圧計(持っていれば)
・体温計
・はさみ
・サージカルテープ
・ディスポの手袋たくさん
・アルコール綿たくさん
・手指衛生のアルコールジェル
・太いマジック数本
・ガムテープ(布バンの方が便利)
個々を説明すると長くなるので、次回に譲りたいと思いますが、最後に大事な点をひとつだけ。
2.汚くても人は死なない
被災地でお風呂に入れるなんて思わないでください。シャワーだってないでしょう。任期は通常1週間程度ですが、その間は体を洗うことはできない覚悟でいましょう。
ナースは衛生観念は特に高い職種と思いますが、人間は意外と汚くても大丈夫な生き物です。夏山登山なんて毎日汗だくになりながらも水浴びもせずに1週間歩き続けるなんてザラですし、チベットの山岳民族ではそもそも入浴とか体を洗うという習慣がないなんて話も。
時期的にそう汗をかく季節ではないので、今回はさほど問題にならないかもしれませんが、気になる人は大きめのウェットティッシュを持っていって、こっそり体を拭くというのがお勧め。介護用とかベビー用に大きめのウェットティッシュがあります。100円ショップでも手に入ります。(ゴミは基本、持ち帰りのつもりでよろしく)
また、トイレも仮設で見た目が汚かったり、長蛇の列、水洗が機能していないなど問題はあるかと思います。だからといって、水分摂取を控えて排尿をセーブしたりすると特に女性の場合は膀胱炎など尿路感染のリスクが高くなります。また便秘も深刻な事態になりかねませんので、この点、特にご注意ください。
今回、かなりの人数が現地に派遣されるようなので、中には災害支援の訓練を受けていないまったく想定外のナースも現地に赴く可能性があります。
日ごろの衛生観念からするとびっくりするような現状かもしれませんが、そこはどうぞ現地の先達に習って、臨機応変に耐えてくださいね。
皆さんが笑顔で活動できることを応援しています。
また続き、書くかもしれません。また内容も追加の可能性あり、です。
コメント
お久しぶりです。
>災害支援は「自己完結」が原則です。
これを分かっていない組織、ボランティアを名乗る人達が多いんですよね。
僕が所属する組織は色々と準備してくれますが、「必要最低限」です。そのため私物での準備は不可欠です。
今日の治療薬とアネロイド血圧計は考えていませんでした。確かに必要ですね!
山の経験があるなら大丈夫ですね。
火事場泥棒や、女性を襲う輩、にも気をつけてね。簡易警報機もあったほうが安心できますよ。どこで睡眠をとるかにもよりますが。
あとは、飴とか甘いものがあると、張り詰めた神経が和らぐ。のどが渇く前の水分補給、すぐに取り出せる水筒、あ、釈迦に説法ですね。
失礼しました。