今日は、中身のないホントの雑談です。勉強になるような話はこれっぽっちもありませんのでご容赦を。
さて、昨日あたりから、王監督が腹腔鏡下胃全摘手術を受けたという話で持ちきりですね。
手術時間が7時間って言ってましたっけ? うちではラパロのトタールはやってないので、7時間というのがどれほどのものだかはよくわかりません。
とかくオペ時間が長いといわれている大学病院でやってこの程度の時間ですから、市中病院ではもうちょっと早いのかなぁ。
テレビ報道のウソ!?
うちでも腹腔鏡下の結腸切除は行なうんですが、ラパロとはいえ、病巣部摘出のときには結局5~8センチくらいの皮切は置くんですよね。胃全摘もおそらくそうなんだと思いますが、テレビの説明では、トロッカーの小さなキズの図示ばかりで、摘出用皮切の話をしないのは、ちょっと詐欺まがいじゃない? と思いながら見てました。
あれを見て、ラパロ手術を希望する人(患者)が増えること請け合いですが、思ったよりキズが大きくて「騙された~」、なんて思う人が続出しないことを願うばかりです。
ラパロの胆摘(腹腔鏡下胆嚢摘出術)くらいだったら、ホントにトロッカーの小さなキズだけで済みますから、内視鏡手術のメリットは絶大だと思うのですが、腸切とか胃切となってくると、小さいとはいえ10cm弱のキズができるわけで、結局はキズの大小の問題だけじゃない? と思ってしまうのですが、どうなんでしょう?
実際の入院期間などは、明らかに開腹手術より短いので、それなりのメリットはあるのは間違いないとは思うのですが、手術時間が倍近く掛ること、不自然な体位を強いられること、気腹の影響、出血時のリスクなどを考えたら、自分なら諸手をあげて受け容れられる方法ではないなと感じています。このあたりは勉強不足で、思いっきり無知な発言をしているかもしれませんが、まあ、どうぞご勘弁を。
動物を使った腹腔鏡手術トレーニング
余談になりますが、腹腔鏡手術を行なう医師たちの手術手技の練習はどうやって行なっているかご存じですか?
他の手術同様、現場で実地に覚えるというパターンもありますが、本格的にラパロ手術を行なう Dr. たちが技術研鑽に活用しているのは、生きたブタを使ったシュミレーション・トレーニング。(ブタと人間、腹腔内はよく似てるんです。ただよーく見ると、肝臓の葉が人間より多かったりして、ちょっとヘンな気分にもなりますが、、、)
海外では動物を使ったトレーニングは廃止されつつあると言いますが、日本では内視鏡手術を行なうための動物実験施設が存在します。時代の流れからすると、そのうちバーチャルリアリティのトレーニング・マシーンにとって変るのかもしれませんが、現状としてはそうした実験動物の犠牲の上に、ラパロ技術が成り立っているのも事実。
実際、その子豚を使った手術練習の現場を目にすると、なかなか複雑な思いがこみ上げてくるのですが、いつか機会があったらそんなシュミレーション・ラボの様子をお話ししようかと思います。学生時代からふつうに動物実験を行なってきた医学部教育と、そうでない看護学部教育の違いを痛感しました。
感情論に支配されないでラパロ手術と動物実験を語るためには、もっと勉強しないと!、です。
出直してきます。
【最後にちょっとしたまめ知識 … ラパロという言葉】
本文中でも、「ラパロ」という言葉を多用しましたが、その正確な意味、ご存じですか? この場合、laparoscopic の略で、前半のラパロ laparo が腹腔手術の意味、スコピック scopic はスコープ、つまり内視鏡ですね。合わせて腹腔鏡下手術のこと。「ラパロ」という言葉が決して「内視鏡」を指しているわけではないことに注目してください。
ラパロというのは、そもそもは腹腔内手術を表わす言葉なんですね。laparotomy といえば scope という語がついていないのでタダの開腹術のこと。ですがなぜか慣例的にラパロといったらラパロスコピックの略というふうに捉えられているようです。
以上のことから、例えば「ラパロの肺切除」なんて言葉はあり得ません。ラパロはあくまでも腹腔内を覗く場合にかぎって付く枕詞(?)だから。内視鏡下肺手術はふつうはVATS(video-assisted thoracic surgery)なんて略されます。thoracic は解剖学用語で胸部とか胸郭という意味。ソラシック・カテーテルという言葉は聞いたことありますよね。
以上、お粗末ながらラパロという言葉にまつわるマメ知識でした。
コメント
初めまして、最近こちらにお邪魔させていただくようになりました!
今年からオペ看としてデビューした者です!
色々勉強になるようなことがたくさんあって、嬉しく読ませていただいています♪
今回はラパロについて書いてあり、今日ギネラパにさっそく付いてきたので、おお!と思ってカキコしてしまいましたσ(・∀・`*)
たしかに、私もトロッカーだけのホントに小さい傷だけで済むのかと思っていたら、小切開は必ず行ってますねぇー!腹腔鏡補助下って感じですよね。
ところで、気腹する時など手洗いが注意しなければならないこととかってあるのでしょうか?
先生方が小さくごちゃごちゃやってるのでよくわからないままついております・・・。
まきまきさん、はじめまして。
まきまきさんの施設では、婦人科の腹腔鏡手術、
やってるんですね。
うちでも以前はよくやっていたのですが、今の先生たちはまったくというほどラパロには手を出さないので、正直、私はギネのラパロってよく分かってません。
どうやらうちではギネだけは気腹ではなく、吊り上げ法でやっていたらしいです。大がかりな器械はありますけど、倉庫の奥で眠ってます。
さてご質問の、気腹するときの器械出し看護師の注意点ですが、ごめんなさい、あまり思いつくことがありません。外回り的にはいろいろ特有のことがあると思うのですが、、、、
強いていうなら、コントロールできない出血などで常に開腹の可能性を意識しているという点でしょうか? あとは鉗子類が長いので取りまわしに注意するとか、、、
スイマセン、どなたかラパロ手術に強い方、的確なアドバイスをいただけたら嬉しいです。
ご返答ありがとうございます!
ギネのラパロも実際は長い鉗子類をあまり使わずに、覗くときにだいたい気腹する感じですねぇ。
やっぱり手洗いが注意する点というのは、開腹になったときや、出血を想定してオペにつくということですかねぇー。(注意点なのか?・・・心構え?)
MDによって件数多かったり少なかったりするんですねぇー。
うちでは胆摘のラパロなんかは一人のMDしかできないみたいで、全然少ないみたいで開腹がほとんどです・・・。
ありがとうございました!またご質問させていただくかと思いますので、よろしくお願いします○┓ペコ
ご返答ありがとうございます!
ギネのラパロも実際は長い鉗子類をあまり使わずに、覗くときにだいたい気腹する感じですかねぇ。
やっぱり手洗いが注意する点というのは、開腹になったときや、出血を想定してオペにつくということくらいになってしまいますね。(注意点なのか?・・・心構え?)
また次回つくことがあれば、勉強して色々考えながらついていこうと思います!
またご質問させていただくこともあるかと思いますので、よろしくお願いします○┓ペコ
まきまきさん、お役に立てずにスミマセン。
また勉強しなおして、これぞと思うことがありましたら、書かせてもらおうと思います。