「AHAヘルスケアプロバイダー」BLS(ガイドライン2005)、受けてきました

この週末、American Heart Association(AHA:アメリカ心臓協会)の、BLS for Healthcare Provider(ヘルスケアプロバイダー)コースを受講してきました。救急蘇生ガイドライン2005対応の一次救命処置(BLS)コースです。

心臓マッサージが30回になってからのBLS講習は初めてでしたが、いや~、やっぱりキツイですね。心マ30回の5クールって。時間にしたらたかだか2分間なんですが、後半なんかは回数を数える息も切れてくるし、心マで重ねている手も痛くなってきます。

ガイドラインの中に、2分毎に施術者を交代するのが望ましい、とまで書かれている理由がよくわかりました。

以前のガイドライン2000に比べて、肉体的にはキツクなりましたが、内容は相当に簡略化されて覚えやすくなってます。迷う箇所が少なくなったというか、だいたいが基本原則通りでいけるのがうれしい感じでした。

今回のコースは、ヘルスケアプロバイダー healthcare Probider 向け、つまりおおざっぱに言えば医療者向けのコースです。そのため一般市民向け救急蘇生とはだいぶ異なる部分がありました。

一般市民では、循環サインの確認はもちろん、脈拍のチェックもしないことになりましたが、ヘルスケアプロバイダーとしては、脈拍チェックだけは行なうのだそうです。ただし10秒以内に確実に触知できなければ、脈なしと判断して心マ(胸骨圧迫と言い方が変りました)を開始します。市民の場合は、最初から脈拍触知は無理ということで簡略化されているというわけですね。

実はこの部分、アメリカ心臓協会(AHA)とヨーロッパ蘇生協議会(ERC)で見解が割れているところで、ヨーロッパ版ガイドライン2005では、医療従事者であろうと脈拍チェックは一切なしです。

日本版の医療者向け新ガイドラインはまだ正式発表にはなっていませんが、どうもアメリカ寄りになるようです。このあたりの話は、前回の投稿で書いた文はちょっと不正確な部分がありますので、確認して修正するつもりです。

BLSヘルスケアプロバイダー・マニュアルアメリカ心臓協会AHAのガイドライン2005対応のBLSヘルスケアプロバイダー・コースは5月から始まりましたが、テキストも講習ビデオも完全に英語。昔みたいに筆記試験も英語なのかなとちょっとビクついて臨んだ講習でしたが、内容の簡略化もあって恐れるほどのものではありませんでした。(試験問題は翻訳ができてますし、講習中も必要な部分は日本語で解説が入るので問題ないです。)

⇒2007年6月に翻訳版テキスト『BLSヘルスケアプロバイダーマニュアル 日本語版AHAガイドライン2005準拠』<が発売になりました。

今回は、完全にアメリカ準拠の方法で新しいガイドラインのBLSを学びましたが、日本国内の基準はどうなっていくんでしょうね。

過渡期にある今、もっともっと勉強しなくては! と思っています。

(おまけの話)
アンビューambu社の人工呼吸用フェイスシールドところで、AHAのインストラクターやアシスタントの人って、どうしてあんなにジャラジャラといろんな物を腰回りに付けてるんでしょうね? 講習で使う成人と小児のポケットマスクはいいとしても、理解できないのはキーホルダータイプのフェイスシールド。それをいくつもぶら下げてます。インストラクションでは絶対使わないものなのにね。日頃からあんなにたくさん持ち歩いてるのかなぁ。あまりに独特のスタイルなんで、町中で見てもきっとすぐにわかると思います(笑)

そういう私も、フェイスシールド、院内でも院外でも常時ひとつは持ってますよ。でもあんなこれ見よがしには持ってません。カギに付けてポッケに入れてます。

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コメント

  1. ぶっこ より:

    管理人さんこんばんは。私も30回心マ体験しました。有り得ないくらいハ-ドっ!!!と感じました。最後の方になると手の疲れが先に来て、有効な心マが行えてるかどうかさえ分かりません。
    ・・・( ̄. ̄;)エット( ̄。 ̄;)アノォ( ̄- ̄;)ンー
     
    私は現在ICLSインストを3回程行ってますが、いづれプロバイダーの事も勉強したいですね~。
    ベテランぽい人ほどジャラジャラが増えてますね。携帯より重いストラップ状態… 
    あっもうフェイスシールドは感染防御に対し有用ではなくなるみたいですね

  2. 管理人 より:

    心マも疲れてくると、手がブレるというか、だんだん位置がずれてくるのがわかるんですよね。たいへん、というより危険かも。
     
    ぶっこさん、インストされてるですね。反対に私はICLSは受講したことがなく、今度受けてみたいと思っています。今、院内のBLS教育プログラムの立上げに関わっていて、あれこれ調べているんですが、新旧のガイドライン、それにICLSとAHA、はたまた新ガイドラインでもAHA版とERC版、日本版で所々違っているから非常にややこしいです。うちはどこ方式で行くのかなぁ。
     
    フェイスシールドに関してはG2005で推奨度が下がってましたね。でもアレって否定的なデータが出ているというよりは、肯定するエビデンスがないという感じじゃないですか? そもそもCPRで感染したという症例報告も少ないし、データがないからエビデンスもないというレベルのような気がします。
     
    ちなみにガイドライン2005原著ではこんなふうに書かれてます。
     
    Barrier devices may not reduce the risk of infection transmission and some may increase resistance to air flow. If you use a barrier device, do not delay rescue breathing.
     
    そりゃ突然の嘔吐を考えれば、フェイスシールドが意味がないのは当然ですが、バリアデバイスを何も使わない人工呼吸よりは多少マシという部分は感覚的に理解できます。保証はないけど、ないよりはマシという理解で、私は依然持ち続けると思います。
     
    まあ、G2005で心マのみでも可というエビデンスが強くなってきますので、いざというときは呼気吹き込み、一切しないかもしれませんが、まあ、お守りとして、ですね。