またまた医療器具の使い回し事件が発覚しました。
今回は循環器内科。カテ室で使う約20万円のディスポーザブルのカテーテル(アブレーション用?)を再滅菌して、記録に残るかぎり過去5年の間に約300人に使いまわしていたということ。
健康被害は報告されていないものの、健康相談と検査に応じるそうです。
処分的には、「行政指導」だそうで、使い回しをしていた医師や滅菌処理やカテの機材準備をしていた看護師個々への処分はない模様。
記事を見ると4月に着任した滅菌担当者がこれまでの使い回しの慣習に疑問を感じて、院長に報告して、近畿厚生局と神戸市保健所に調査結果を報告し、今回の報道になったようです。
よく言えば自浄作用が働いた、ということなんですけど、まあ、不自然で、病院としては逃げられないところまで追い詰められたってことなんでしょうね。
そこまで追い詰めた滅菌担当者とぜひ話してみたいものです。
滅菌業務は最近は外部委託されるケースが多く、外部の業者としては病院の不正を指摘するような動きはしないでしょうから、きっと中央材料室の主任や師長が代わって今回の告発に及んだと思いますが、看護師からの発信だとしたら、頼もしいですね。
民間資格ながら、滅菌技師という認定制度があります。
中央材料室で働く人がよく取得しており、うちの中材の主任ナースも1級をもってましたが、使い回しに関していちいち声を上げる人ではなかったですね。
シングルユースの医療器具は、添付文書にある通り、1回で捨てるべきです。
これは正論としてどう転んでも正しい。
しかし、今回の事件のように医療保険制度では、規定数以上を使うと病院の持ち出しとなり、病院経営的に厳しいのも事実。最近は手術で使うドレープや材料の多くがディスポーザブル化されて、より衛生的に手間なく手術が進められるようになっていますが、それこそすべてをディスポーザブル製品で行ったら、手術代の元がとれないというのも事実。
だからこそ、堂々と使い回しできる不便な古い機器を使ったりしているわけですが、その流れからすると、単回使用品も洗って滅菌して使えばいいじゃん、という発想は理解できなくはありません。
今回も滅菌しているからいいじゃんという意見がありますが、実際のところ下記の2点で問題です。
・洗える構造になっていない
・滅菌や再利用に耐える強度では設計されていない
カテーテルのような長い細い内腔がある製品、どうやって洗ったらいいんでしょうね?
内腔に付着した血液をブラシのようなもので洗うことはできません。
血液を分解する酵素が入った液体につけて、水通しするのがせいぜいです。
それで洗浄したといえるのか?
また滅菌工程を考えても、カテーテルのようなプラスチック製品はEOG滅菌かプラズマ滅菌ですが、狭い内腔にきちんとガスが浸透するのかという点も問題です。内腔に関してインジケーターでチェックをすることもできません。
強度という点では、再利用は想定されていませんから、カテーテルが血管内で破損する可能性があります。血管内で先端部が欠損して遊離してしまったら、、、、コワイですね。
こういうことは、事件が起きた時に検証されて初めてバレるもので、通常は患者にはわかりません。
ただ、場合によっては、再生品を使っていたにも関わらず、患者には新品を使ったことにして材料費を請求するということもあり、これは完全に診療費の不正請求、つまり詐欺です。
今回の場合は、診療費の不正請求という指摘はされていないので、そこまで悪質ではなかった(まだバレてないだけ?)のだと思いますが、私が告発した使い回し事件は、この診療費の不正請求という観点で厚生局と地元行政に報告をしています。
正直なところ、この程度の使い回し、大半の医療者は、「ふーん、、、バレちゃったんだ。運が悪かったね。」程度の認識だと思います。
珍しくないってこと。
今回の事件がきっかけで、いま使い回しを常態的にやっている全国の病院が、自ら襟を正してくれることを願うばかりです。
医療用カテーテルを国の通知に違反して使い回していた問題で、神戸大医学部付属病院(神戸市中央区)は30日、使い回しは記録が残る2010年度からの約5年間に296人に実施し、41人にその疑いが否定できなかった、と発表した。保険診療で定められた本数を超えて治療する場合、診療報酬が受けられないため、担当医の判断で滅菌して使い回していた。10年度以前にも使い回しの可能性があり、同病院は調査を続ける。
同病院によると、今年4月に着任した医療器具の滅菌担当者が使い回しを知り、院長に連絡。病院が調査した結果、循環器内科の不整脈治療を担当する医師らが使い回しを認めた。現時点で健康被害は確認されていない。
カテーテルは1本約20万円。同病院循環器内科の平田健一診療科長は「国の通知に沿い、カテーテルの添付文書にある再使用禁止を守らなかったのは反省すべき」と謝罪した。
同病院は6月に近畿厚生局と神戸市保健所に調査結果を報告。両者は7月13日に臨時の立ち入り検査を実施し、再発防止策を求める行政指導をしたという。10年度以前の患者も調査するため、同病院は緊急窓口を設けて問い合わせに応じ、必要な場合は感染症検査の費用を負担する。同病院医療相談室TEL078・382・6600(土日祝を除く午前9時~午後5時)
(金井恒幸)
コメント
こんばんは!
手術室に勤めていた時から、こちらのブログには大変お世話になっております。
現在では病棟へ異動になり、また手術室からは離れているのですが、病棟で見る滅菌物の取り扱いに毎日唖然としています(笑)
一度開けた滅菌物を封して違う患者に利用など日常茶飯事。ORナースだったせいか、そのような使用方法に衝撃を隠せません。
先日、ルンバールをしました。
病棟の先輩ナースは、何食わぬ顔で滅菌操作で物品を用意していたのですが、長鑷子を一度使用し、オートクレーブの滅菌袋に戻しました。
使い終わりではなく、滅菌グローブをはいた医師に物品を渡すときにも再度その袋から長鑷子を出し、使用して渡していました。いわゆる、鉗子立ての役割で使用していたのだと思います。これって、ありなんでしょうか?
滅菌操作のエビデンス云々でいうと、なし、だと思うのですが、病棟にわざわざ滅菌した鉗子立てなんてないし…。
主様はどう思われますか?
突然、このようなご質問、失礼とは存じますが
ご見解を賜りたいです。
これは、あるくそ看護師長の【O】のせい。
元々くその役に立たない看護師長【O】(当時ICU)が、ろくに仕事ができないくせに調子に乗って、文句をたらたら言うたことや、仕事の出来なさ、また仲良し同期看護師長が居る部署とのなぁなぁな病床運営に業を煮やした循環器内科医師達が、看護部管理室へ直訴。その結果、その看護師長【Oだ】は、墓場の滅菌センターへ飛ばされる。
数年間滅菌センターで働き、いつか報復しようと企んでいた看護師長【Oだ】は、自らが勤務する滅菌センター内での循環器内科医師の不祥事を知り、自分の部署配置変換と引き換えにリークをした。
くその役に立たない【Oだ】のおばはんの謀反みたいなもの。
以上、現役死んだいNsより。