手術室ナースはもっと強気に出ていいんじゃない?

先日、こんな新聞報道がありました。

『看護師不足で手術待ち760人…横浜市大病院』

(2010年9月17日09時14分 読売新聞)

横浜市立大学付属病院(横浜市金沢区、631床)で4月、手術待ちの患者が計約760人に上っていたことが同病院のまとめでわかった。

手術担当の看護師が足りず手術件数を増やせないことが要因で、初診から手術まで2か月以上かかるケースも多い。同病院は「緊急度の高い患者は優先して手術を行っており、生死にかかわるような問題は起きていないが、患者の不安を軽減させたい」として、看護師確保を目指している。

同病院によると、院内から「手術室が有効に活用されていない」という意見が寄せられたため、同病院の外科系診療科の各部長12人を対象に4月にアンケートを初めて行った。その結果、手術待ちの患者数は、整形外科300人、泌尿器科120人、一般外科や眼科が各60人、形成外科が48人――など計760人いた。

初診から手術までにかかる期間は、皮膚科の1~2週間を除き、脳神経外科や口腔(こうくう)外科など5科が「1か月~2か月」、形成外科や泌尿器科など6科が「2か月以上」と答えた。

同病院の手術室で働く看護師が、望ましい51人よりも8人少ない43人で、12の手術室のうち、8室ほどしか手術の予定を組むことができない状況だ。手術担当の看護師は勤務時間が長いため、希望者が少ないという。

一方、2009年度の同病院の手術件数が初めて5000件を突破するなど、がん患者などで手術が必要な患者が急増していることも手術待ちの患者が増えている原因になっている。

同病院では看護師を増やすため、就職する看護師を対象に支度金にあたる「入職準備金」20万円を支給する制度を今年度から新たに設けた。また、今年7月から手術室の看護師専用の駐車スペースを新しく5台分確保するなど待遇の改善もしているという。

同病院は「病院だけでなく、大学を挙げて看護師の確保に取り組んでいきたい」としている。

(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100917-OYT1T00247.htm)


この問題、看護師不足と手術室看護師不足がごっちゃになっていますが、本質は手術業務をできるナースの絶対数が足りないことでしょう。

手術室から病棟へ手伝いに行くことはあっても、その逆は逆はまずありません。

病棟業務はナースならある程度誰でもできるけど、手術室業務はまず無理。

手術室で働くナースにいかに特殊なスキルが求められているか、ということです。

手術室で一人前に働けるナースに成長するまでは3年はかかると言われています。

いくら病棟からベテランナースが移動してきたとしても、この3年というのは変わりません。

病院の中で一番の稼ぎ頭でもある「手術」を支える特殊技能を持ったオペ室ナース。

この人たちがいなければ、いくら優秀な外科医がいても手術は回りません。

想像してみてください。仮にオペ室ナースが全員ストライキを起こしたらどうなるか?

他部署からの補充はまず無理ですし、オペ室経験のあるナースを雇おうにもそうそう見つかるわけもない。

手術室が1日動かなければ、下手すれば億単位の経済損失。

オペ室ナースって実は病院にとって、とても重要な存在で大事にすべき。

看護部のコマの一つとしてコロコロとローテーションさせたり、興味がないような人を無理矢理配属するような場所ではありません。

なんてことが、この事件から少しは看護部長クラスに伝わればいいのになと思っています。

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コメント

  1. りっぴ より:

    こんにちは。
    いつも楽しみにブログを拝見させて頂いています。
    私は13年op経験のあと、異動で今はICUナースになって2年目になります。
     
    今回のopナース不足は、うちの病院でも問題に
    なっています。私もとなりでみていて思います。看護部に上申してもなかなか分かってもらえない。。
     
    でも、異動を経験して感じました。
    opナースは確かに、病棟ナースとは違うスキルが必要で、特殊部署だと思います。。
    だからといって、10年も20年も、一度も異動しないことってどーなのかなって?
    って感じています。
    私にとっての異動は、かなり看護力を上げる
    いい経験になってます。
    もしかしたら今までよりも、麻酔や手術について学んでいるかも!?って思います。。
    手術室が特殊部署だからこそ、一度は病棟で、患者を看ることを学ぶことも必要かと。。
    手術室が特殊部署で、質は高くあるべきところだと思っています。
    一歩外にでると…あれれ!?…継続して患者をみる病棟ナースが必要とする情報を手術中なんらみれていない現状があることに愕然としています。多少の認識の違いはあるでしょうけど、「手術室からは、必要な情報は得られない」とまで言われる始末です。
     
    確かに、こまのように異動させられては困る
    部署。(自分も異動させられてかなり思いました(苦笑))
    その部署の質は、責任者と呼ばれる人の求める質にもよると思うんですが。
     
    って考えると、今回の新聞記事をそーだ、そーだ!と思う反面、複雑に思ってしまいました。
    手術室ナースにとっての異動ってどー思われますか??
     
     

  2. Nsマン より:

     こんにちは。いつも更新を楽しみにみています。
     私もコメントさせていただきます。
     
     私は手術室Nsの2年目です。2年目といえば、手術室業務に少し慣れてきているところです。
     
     確かに手術室は応援がきく部署でもないし、だれにでもできる業務ではありません。手術室で働くには、それなりの知識と技術が必要で、あと覚える器械や手順が多く、忍耐力や要領も要求されるところです。
     
     一番ローテーションをされて困るのは、経験のない手術が入ったとき、使用する器械が理解できていないものもあるということです。Drから「これを出して」と言われても、「何それ」というものがあることです。こうなることが一番困ります。(特に緊急時)
     
     なので、手術室のローテーションはあまり好ましくありません。(ベテランが多ければいいかもしれませんが、私の病院では少ないため)
     
     
     

  3. imuzio より:

    管理人さんこんにちは。久しぶりにコメントします。imuzioです。
     
    私の知り合いの手術室看護師さんが言うには「手術室の看護師は一般の人々の看護師業務とは全く違う」っていってましたねー。一般の人も知らないような電気配線の知識とか、そんな下手したら余計?と思われるようなことまで知らなくてはならないと嘆いていました。
     
    とはいうものの、そんな知識も病院としては必要なこと。どちらがどうということもなく、そのバランスが良いかどうかということではないですかね。今回の新聞記事も全体的な看護師不足の話題にかぶせてきてるだけで、実際はそれぞれの病院がどのように配置して運用していくかがポイントでしょう。管理人さんとこの看護部が重たい腰を上げてくれるといいですね。ではー。

  4. 大統領と言われています。 より:

    こんにちは。
    病院にとって手術室看護師はエキスパート集団。あなたはそのエキスパートたちを引っ張っていく存在になるのよ。と5年前突然手術室へ異動。どこの病院でも同じかと思いますが、その時にいた先輩は今一人も残っていません。病棟では7:1看護を満たすため、人員確保に懸命です。欠勤が出ると手術室に電話が…。病棟業務の応援要請です。医師だけでなく病院にまでいいようにこき使われ、これがエキスパート集団でしょうか。各個人のモチベーションは上がらず、手術室に看護はない。とみんな疲弊しています。

  5. zou より:

    オペ室看護師がストライキして一番困るのは誰ですか?
    医者ですか?事務方ですか?
    それとも・・

  6. じょうだんじゃない より:

    私がストをしたら、あたなの大好きなiPhoneが明日から作れなくなる仕事をしていますが、人の生死には関わりません。あなたがストをしたらどうですか?そのような仕事をしていることを認識して、仮にでもそのようなことを思わない、言わないようにしてもらいたいです。人の生死に馴れすぎて感覚が麻痺してるように感じます。お金儲けしか考えない医者が衣料をダメにしている今の医療関係者全般の象徴のようです。とても残念です。

  7. 疑問を持つ者 より:

    看護師は命に関わる仕事をしているのだから、ストライキなど口にするのももっての他。この理屈がわかりません。看護師は待遇に不満があっても、ストライキしてはいけないのですか?

  8. 管理人 より:

    じわじわと皆様からのコメント、ありがとうございます。
     
    どんな業界でも愚痴はあるかと思います。それが業界外に「漏れる」のが問題となる場合もあります。
     
    でも、私はそれをあえてここで書いています。ブログコンセプトとしては手術室看護師へのメッセージですが、そこに限定する術を私は持っていませんし、かと言って他者が見ることはないと思っているわけでもありません。
     
    投げた言葉は流れていき、いろいろな人にいろいろな受け止め方をされます。
     
    そんな当たり前の事象を普通に実感している、ただそれだけです。
     
    引き続き、皆様、自由にお使いください。