オペ室ナース1年生にエールを!

新年度が始まって1週間が過ぎました。

私が働く手術室にも新人看護師さんが5名入ってきました。
手術室に配属になったのは今週、つまり昨日からで、まだオリエンテーション中でオペには就いていません。

まだ個人的にはぜんぜん話していないのですが、いちおう配属希望の中に手術室と書いていたとの話。

昔はそんな人は誰もおらず、みんな図らずもオペ室に来ちゃったという人ばかりでしたから、時代は変わったものです。

私的には、TVドラマ医龍で、手術室看護師の仕事がクローズアップされた影響では!? と踏んでいるのですが、どうでしょう??

今度、うちに来た新人さんに聞いてみようと思います。

さて、いつも書くことなんですが、手術室看護は極めて特殊です。

なにもオペ室は看護性が低いとか、そんなことを言っているんじゃありませんよ(^^;

なにが特殊かというと、手術室看護は看護学校ではほとんど教えられることがない専門領域だという点です。

看護学校・看護大学で「周手術期の看護」という単元、もしくは実習はあったと思いますが、手術室看護を教わったという人はいますか?

手術というのは、治療を目的とした急性期病院の最大のイベントです。
病院に入院する人の最大の目的は「手術を受けること」でもあるかもしれないのに、そこに関わる看護師の役割をきちんと記述した教科書は見たことがありません。

なぜか手術の前と後の話が中心になっちゃうんですよね。

、、、まあ、いいです、その話は。

手術中、看護師が看護の視点をもって患者さんを守らなければ、どんなことが生じるか考えたことがありますか?

例えば肺の手術をして、病棟に戻ってきた患者さん。傷が痛いといっています。まあ、これはある程度は仕方がないこと。でも傷以外がどこも痛くないというのは、ある意味、すごいことなんですよ。

肺の手術は、たいてい側臥位で行なわれます。麻酔で眠ったあと、よっこらしょと体を横向きにして器具を使って固定します。無意識の患者さんを無理矢理横向きという不自然な格好にするわけですから、例えば腕が無理な角度に曲がっていたら、術後麻痺が出る可能性もありますし、体の節々に負担がかかって、長時間のオペ後には褥瘡をはじめ、いろいろな不具合が生じてきます。

そうならないようにクッション材などを使って患者さんを安楽な良肢位を保つように努めるのは意識のない患者さんの代弁者であるナースの役目。

術野の確保のためにはときとして絶対的に無理な姿勢を強いる必要が出てきます。医師は治療を優先しがちですので、苦痛を訴えられない患者さんにとって変わって、医師に折衝案を持ちかけるのもナースの役目です。

ちょっとした例ですが、術後なんでもないというのは、こうした看護を実践しているゆえの結果なんです。

手術室に看護がないなんて言わせない!

(⇒ 関連記事:『手術室の等身大の看護を表現する』)

看護師が全国に120万人いるうち、手術室看護を知っている人がどれだけいるでしょう?

看護師を育てる看護教員の中でも、オペ室経験がないかぎり、手術室看護のことは理解していない可能性が高いです。

場合によっては病棟看護礼賛的な部分があるかもしれません。

でもどうぞ自信を持ってください。

手術室の仕事も立派な看護です。

最初はとにかく必死だと思います。現場で先輩から言われたことをメモして覚えるので手一杯。でも、ぜひおすすめしたいのは、毎月発行のオペナーシング誌には必ず目を通すこと。おそらく職場の図書として定期購入していると思いますので、昼休みとかちょっとした空いた時間があったら手に取ってみてください。

とかく閉鎖的で情報交換が少ないオペ室では、各病院毎の”常識”がいっぱいで何が正しいのかわからなくなることがありがち。なんとなくでいいんです。とにかく手術室看護のスタンダードに触れておくことで、きっと1年後には、ただ先輩から教わっただけのORナースとはひと味もふた味も違った知識・見方が持てるようになっているはずですから。

あと、このブログでも手術室看護師として自信をもって活動して上で役立つかも知れない”視点”をいろいろと提示しています。

今後あまり頻繁な更新はできないかもしれませんが、かなりの量の過去記事が溜まっていますので、そちらにも目を通していただけるとうれしいです。

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コメント

  1. ゆか より:

    初めまして。ゆかといいます☆
     
    新卒の看護師です。
    手術室の配属になりました。
     
    手術室は、予想もしていなくて
    何をどこから勉強しよう?という感じですが
    こちらで紹介してくださっている参考書で
    自己学習もしていきたいと思います!
     
    これから、こちらのブログでも勉強させて
    いただきたいと思います☆
     
    よろしくお願いします!
     
     

  2. いちご より:

    おひさしぶりです。
    読んでいて、全くその通りだと思ってついコメントしてしまいました。
    体位においての、私たちの苦労。先生の手術をスムーズにするためだけの体位に、一生懸命口や手を挟んでいる毎日です。
    うちの新人たちにもこのHPを紹介して私が学ばせていただいたように、いろいろ学んでもらいたいなと思います。

  3. カズヤ より:

    初めまして!
    僕は今、看護師を目指して看護学校に通っています。
     
    実は僕は前々から手術看護師(オペ看護師)を目指していて、学校に入学したらすぐに手術分野を勉強しようと活き込んでいたのですが、手術の分野が載っている教科書がないことに気づきました。
     
    結局今は本屋で売っている「手術看護マニュアル」という医学書で勉強しています。
     
    このブログでは僕が勉強したいことを多く書いているので参考にして勉強させていただきたいと思います。
     

  4. とち より:

    こんにちは。管理人さんお返事ありがとうございました。「もしかして管理人さんは…」と思ったのは、管理人さんの病院の手術件数、オペ室に配属された新人ナースの人数と配属日が、私の就職先のオペ室と同じだったので、もしかして~!と思ってしまいまして(笑)このもしかして~が当たっていて、管理人さんの下で働けるなんてすごいじゃないかと思ったのです(^^;)
    どうやら私の思い込みのようですね(笑)
    今週は私もオペ室にてずっとオリエンテーションでした。似たような器具や器械の名前とたくさんある種類、術中の器械出しもドクターが持ち直さないように配慮して渡したり、素早い動きで術中の全体を管理している外回りの先輩方、手術看護には本当に高い専門性が要求されることを肌で感じた一週間でした。本物の「オペ室ナース」になるためにこちらの過去記事や管理人さんのお言葉で勉強していきたいと思います。
     
    そして人間関係…。こちらの方も大人な付き合いを心掛けていきたいです(笑)
     
    長くなってすみません。それでは~(^∀^)ノ

  5. しっぽ より:

    こんばんは。久しぶりにこのブログを読みました。OP室勤務3年目になりました。最近まで自分の手術室においての看護に自信をなくし、これで良いのか???と疑問を感じて仕事に行くのがいやになりました。先輩に相談してもいまひとつ納得できず悶々としていました。でも、先輩の言葉の中に”傷以外の傷を作らないことが私たちの看護やに”といわれました。自分がおこなっている看護が良いか悪いか分かりませんが、先輩は”(あなたが)やっていることはいいことやに。ちゃんとしとるよ”といってくれました(肯定してくれました)。自分の看護に少し自信を持ちました。これからも”修行”に励んで”患者様に何事もなく退室できる”ようにしていきたいです。今年配属になった1年生の方もゆっくり、身に着けていってください

  6. BB より:

    はじめまして
     
    私も手術室3年目になるナースです
     
    手術室の看護、というか看護について一つだけ私が思ってることがあります
    それは「必要としている人がいるから」私たちは看護をしているということです
    評価がないと…ってこともわかってます
    でも 私たちの仕事って縁の下の力持ち的な仕事じゃないですか?
    患者さんは医者を選んで病院に来るかもしれないけど
    看護師を選んで来ることはほとんどないと思います
    でも 看護師は必要なんです
    医者だけじゃダメなんです
     
    管理人さんみたいにデキる人も一杯いると思います
    でも 私は思うんです
    心臓外科の患者さんもいるでしょうけど
    指の骨が折れたの患者さんもヘルニア手術の患者さんもいるんです
    たいしたことないオペと思われている手術でも
    その患者さんにとっては一生に一度のことかもしれない
    合併症をもってるかもしれない
    ものすごい恐怖感をもってるかもしれない
     
    私たちは自己の充実のためだけじゃなくて
    (もちろん そのために、もありますが)
    誰かを必要としている患者さんのために働いてるんだと思います
    その手術をするために 誰かがいなければいけないからやるんだ
    よりよく手術を終わらせるために自分がやらなくては と思いたい
     
    新人の方たちもそう思ってもらえたら
    しんどいことも乗り越えられるんじゃないかな~ と思います
     
    えらそうなこと言って 本当にすみません

  7. honey より:

    初めましてm(__)m
    ブログ検索でやってきた看護師六年目です。
    OR Nsは確かに特殊と言われてしまう分野ですよね。でも、私は准看の時にOR経験があるお陰か、かなり面白い分野と感じています。なのに、アトピーが年々強くなり、OR勤務は出来なくなりましたが―…
    OR内でどのようなオペが行われているかが解ると、術後看護も分かりやすく、患者さんの安楽の大切さがより解ると思いながら、病棟勤務を続けていましたよ。
     
    どんなオペであれ、患者さんやご家族にとっては大事件に値します。その辺りを汲み取りながら、OR NsやDrと連携しながら看護に取り組みたいのですが…なかなか上手くいきませんね( ̄▽ ̄;)
    一旦退職し、今度入職するところはEC。頑張りどころと思いながら、やっていきたいです。
     
    また遊びに来ます

  8. のん より:

    こんばんは☆更新されていたんですね。嬉しいですー。
     
    5月から最後の実習です。実習して考えも変わるかもしれませんが・・やっぱり手術室興味あります。
     
    これからもこのオペナースを参考に考えていきたいです。
    どうもありがとうございます♪

  9. くじらっこ より:

    今年度の4月からプリセプターです。こちらのブログに助けられることも多いです。管理人さんの頑張りに感謝しつつも自己学習もがんばりたいです!
     

  10. 管理人 より:

    ちっとも返事できなくてごめんなさい。
     
    皆さんから前向きな言葉がたくさん聞けてうれしかったです。
     
    ここのところめっきりと新人指導とは遠いところに来てしまいましたが、新人さんを指導する中堅の人たちの良き手本となれたらと思っています。

  11. えり より:

    今年からナースになりました☆一年目です☆産科とオペ室を経験させてもらったのですがオペ室は人数がたりており産科の配属になり、毎日ショックで…でもやっぱりオペ室看護師になりたい☆その思いが強いです。病院にかけあってももうオペ室には戻れないと言われました。産科には産科の素敵な看護がたくさんあると思います。でもオペ室にいって学びたい気持ちが抑えられません泣
    病院をかわった方がいいでしょうか?迷っています。

  12. サザエ より:

    この4月からオペ室に配属された新人看護師です。
    たまたまこのブログを拝見し、コメントさせていただきました。
     
    私はゴールデンウイーク明けから外科、ギネの開腹、形成の皮膚皮下腫瘍摘出、植皮等の器械出しを進めてきました。
    頭ではわかっているのに、実際に立つと思うように器械出しができず、涙する日もあります。
     
    そんな中、徐々に外回りも始めていくことになりました。
    器械出しでお薦めされていたテキストがわかりやしかったので、何か外回りについてのお薦めのテキストがあれば教えていただきたいです(麻酔時の全身管理だけでなく、挿管介助、体位固定、心電図の読み方など、外回りに必要なお薦めテキストならなんでもお願いします)。
     
    長々と申し訳ありません。
    よろしくお願いいたします。