砕氷船しらせの医務室-自衛隊の中の看護師

休日の今日は、海上自衛隊横須賀基地の一般開放に行ってきました。
 
護衛艦の中に入れるということで楽しみにしていたのですが、結果的にいちばんおもしろかったのは基地内で垣間見る医療のニオイ(!?)でした。
 
見学ができる護衛艦の中に並んで、オレンジ色でひときわ船体がおおきな船があって、なにかと思ったら南極観測船(砕氷船)しらせ。(南極観測って自衛隊の管轄だったんですね。てっきり文部省とか通産省だとばかり思っていました。)
 
砕氷船しらせ
 
しらせの船内を順路を巡っての見学でしたが、見学コースの中に船内診療所というか医務室がありました。ドアから覗き込むだけでしたが、なんだか嬉しかった~ 歯科用の診察台なんかもしっかり完備されていたし、心電図モニターや除細動器もあったりして、どんな人がここに勤務しているんだろうとあれこれ考えてしまいました。
 
砕氷船しらせ医務室
 
砕氷船しらせ医務室にあった除細動器
 
海上自衛隊の船なので、当然診療スタッフも自衛隊の医官や看護官(っていうのかな?)なんでしょうけど、看護の仕事としてこんな領域もあるんだなと思いました。
 
無影灯が設置されていて、その下の診療台(?)はテーブルクロスが敷かれていて、なんだか食堂の長テーブルのよう。南極へ向けて何ヶ月も大洋を航海する船ですから、それなりの外科的処置も行える設備はあるんでしょうけど、まさかあの下がオペ台? には正直見えませんでした。
 
実際のところ、どの程度までの医療処置が行えるのか、スタッフがいればあれこれ聞きたいところだったのですが、残念ながら今回はただ見るだけで終わってしまいました。
 
 
 
基地開放は炎天下での大きなイベントなので、桟橋には救護所が設けられていました。そこには白い自衛隊のユニフォームを着て、赤十字の腕章を付けた救護スタッフの姿が。あの人たちが自衛隊所属の医師や看護師なのかなぁと思ったのですが、小心者の私は声を掛けることもできず、ただ素通りしただけ。
 
後でもらったパンフレットによると、海上自衛隊には「衛生隊」という部隊があって、看護師・救急救命士・放射線技師・臨床検査技師などは衛生隊の所属になるようです。
 
パンフレットによると、海上自衛隊の衛生隊員の基本資格は准看護師なんだそうです。
 
まずはふつうに海上自衛隊に入隊して、一般隊員として勤務。その間に適正を見られて選考に通ると自衛隊横須賀病院准看護学院という2年課程に進学。准看護師免許を取得すると衛生員として勤務ができる。その中からさらに選抜試験に通るとより専門課程に進めて、正看護師、救急救命士、臨床放射線技師、臨床検査技師課程を受けられるのだとか。
 
つまり海上自衛隊では例えば臨床放射線技師であっても、准看護師免許を持っていて臨床経験もある人ばかりということなんですね。それってある意味心強いかも。確かに船上という限られた人的資源の中に放射線のことしかできない人を置くよりは基礎資格として看護ができるというのは意味があると思います。看護師(准看護師)は医師の指示さえあれば資格的にオールマイティーですからね。
 
とはいえ、准看護師養成課程が廃止に向かうこの時代に、准看が標準資格というのはどうなのかなという疑問も残ります。
 
これが海上自衛隊ではなく、陸上自衛隊とか航空自衛隊だとまた事情は違ったりするんでしょうか? 確か陸上自衛隊では、看護師免許を持っている人を対象に採用枠があったような気がします。
 
看護師として働く上での職場としての自衛隊。
 
なんだかちょっと興味が湧いてきました。


 

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コメント

  1. hidemd より:

    たしかに准看護師だけど, 場合によっては看護師以上かも
    彼ら彼女らは自分たちの教育部隊の管理防衛をこなしながら部隊内に寝泊まりし, 相当密度の高い教育を受けています.
    死ぬ気で頑張れ, とにかく頑張れ
     
    とか何とかの標語が掲げられています
     

  2. ぽん より:

    こんばんわ。2回目のコメントです。
    私は看護学校を受験する際、叔父に薦められて第一希望が自衛隊の看護学校(正看護師)でした。倍率が50倍という難関で、あっさり私は一次試験で落ちましたが、受かれば入隊?となって学生でありながらお給料がもらえるそうですが、全寮制で富士合宿?みたいな野外授業があったように記憶しています。自衛隊病院とかも全国に数ヶ所ありますが、普通の病院と何か違ってたりするんですかね?

  3. hidemd より:

    中央病院の看護師のレベルはまあ相当のものだと思います
    Off Job Training (ICLS)でのつきあいですが, instされている看護師さんのミスの少なさは特筆すべきものです
    このミスがないってところがあそこの教育方針なのかも知れません
     
    病院自体はもともと一般人が受診できないものだったので, 疾患に片寄があり, 医師が逃げやすい環境だったようです

  4. 管理人 より:

    hidemdさん、ぽんさん、コメントありがとうございました。
     
    確かに自衛隊出身の方って”違うもの”がありますよね。私も外部講習で自衛隊出身の方とご一緒したことがなんどかあるのですが、的確ですね。(若い方であっても)
     
    自衛隊の医師は、私の勤務する病院にも手伝いで定期的に来ているのでなんとなくはわかるのですが、やっぱり症例が少ないから外で勉強するというような感じみたいですね。
     
    自衛隊の中から選抜されて看護師への道へ進むというパターンと、最初から看護学生として入隊するパターン、それに看護師資格を持った上で入隊するというパターンがあるようですが、資格を持った人が行った場合、訓練の度合いはどんな感じなんだろうと興味津々。

  5. nori_co より:

    AHAのインスト仲間とJPTECのインスト仲間に海上自衛隊の医官と陸上自衛隊の看護師さんがいます。JPTECを受講したときは海上自衛隊の救命士さんと一緒でした。
    海自の場合は船に医療従事者がその救命士さんひとりという場合もあるらしく、なかなか厳しいようです。医官がヘリコプターで他の船にいって治療したりもありだそうです。
     
    ・・・そういえば看護学生の頃、衛生大隊教育隊なんて所にいる准看の学生さんと文通してたことがあります。なつかし~~。

  6. 管理人 より:

    もしかしたら以前別の場所で書いたかもしれませんが、去年、とある学会に出席したら、海上自衛隊の中でAHA ACLSコースを運営しているインストラクターさんからの発表がありました。質疑応答の中で、「自衛隊の中でもAHA教育に則ってポジティブフィードバックでやってるんですか?」という質問があったのには笑えました。
     
    きっとぜんぜん違う世界なんでしょうね、自衛隊の中の医療界って。

  7. かぁちゃん より:

    自衛隊病院の看護師です。(自衛官ではありません。防衛省職員って感じです。)
    そんでもって、旦那が海上自衛隊で衛生員なるものをしています。
     
    旦那と自衛隊の医療のことについて話すと感じる事なのですが、医官(医師)が乗っている少ないため、自分1人で200人程の命をあずからなければならない責任の重さあるという事をよく聞かされます。
    また、外傷看護にしてもICLSとJPTECを織り交ぜたような海上自衛隊独自のKTLSなるものがあるそうです。
    医師がいないところで自分ひとりで診断・治療・看護を行うってのは自分にはできないなぁと旦那を尊敬・尊敬です。
     
    そんな旦那より先にICLSとJPTECのプロバイダーコースを終了できたことが唯一旦那に勝てる事なのですが、実践となると勝ち負けではないので日々精進したいと、書き込みながらおもいました。

  8. 管理人 より:

    かぁちゃんさん、これはまた貴重なコメント、ありがとうございました。
     
    護衛官には必ず医官がのっているものだと思っていましたがそうでもないんですね。ナースひとりで船全体の健康を預るとは、それは重責。でも、逆に言えば勉強のモチベーションも上がるし、やりがいもあるのかも。
     
    KTLSなんてものがあるんですね!

  9. もけけ より:

    私は海上自衛隊の看護師になるのがゆめです
    早く海の上で活躍したい