ICLSとACLS

看護師の”新常識”として、アメリカ心臓協会(AHA)が提唱している一次救命処置 BLS や二次救命処置 ACLS を勧める記事をなんどか書いてきました。

心肺蘇生の標準化プログラムといったら、なんといっても本家本元はアメリカ心臓協会(American Heart Association)のBLS&ACLSですが、日本にはICLSという日本独自の救命標準化プログラムがあって、しばしば受講生に混乱を来たしているようです。

最近、私もAHAのみならずICLSにも関わようになってきたので、AHAとの違いなどを含めて少し書いてみようと思います。

まず先に結論

 ・看護師向けとしては内容・経済性からICLSがいちばんオススメ
・さらに興味があればAHA-BLS、AHA-ACLSへとステップアップすると良いのでは?
・ただしICLSは公募ではないクローズドコースが多くて、受講機会が少ないかも
◆ ◇ ◆ ◇

『ICLSとACLS、内容も名前も似たような感じだけどなにが違うの?』

この世界の門を叩いた人がたいてい感じる疑問ですが、おおざっぱに言ってしまうとこんな感じになります。

『本家本元はアメリカ心臓協会が開発したACLS。でも救急現場では必要ない高度な内容を含むために簡略化して、さらに日本独自の事情を加味して作られたのが日本救急医学会のICLS』

ICLSは以前はACLS基礎コースなどと呼ばれていた時代もありました。しかしAHAからはコアとなる10のシナリオを含まないとACLSとは呼べないというクレームがついて今ではICLSという言い方に統一されています。

AHA-ACLSの「コアとなる10のシナリオ」というのは、呼吸停止、BLS+AED、心室細動/無脈性心室頻拍、無脈性電気活動、心静止、急性冠症候群、徐脈、不安定な頻拍、安定した頻拍、急性虚血性脳卒中のことです。

このうち、例えば徐脈や頻脈、急性冠症候群や脳卒中などは即緊急性を有するものではなく、初動処置として教える必要はないんじゃないかというのがICLSの考え方。本当に緊急を要するものだけを教えて、心停止の最初の10分間にできることを効果的に教えるというのがICLSの基本コンセプトになります。具体的に言えば、基本的な成人のBLSの他にVT/VF、心静止、無脈性電気活動の場合の対処方法をトレーニングします。

確かにそのとおりで、AHAのACLSは医師にとってはいいのかも知れませんが、ナースやコメディカルにとってはチト難解だよなぁというのは私も感じます。

私はこれまでAHAのBLSとACLSを受講してきましたが、BLSはともかくACLSを仲間の看護婦に勧めることはできませんでした。なぜなら、内容が難しいのと、講習が2日間、費用も約4万円と高額だったからです。ICU勤務とかならいざ知らず、手術室看護師にはオーバースぺックな感じがしました。実際私がACLSを受講してから3年がたちますが、その間勤務先病院のナースでICUを含めACLSを受講したという話は聞いてません。

最近、ICLSコースにインストラクターとして参加する機会があって、そこではじめてICLSの実際に触れたわけですが、これはいいなと思いました。ぜひすべてのナースに受けてほしいコースだと感じました。

AHAがBLSで1日、ACLSで2日、合わせて3日かけて学ぶ内容から、緊急度の高い部分だけをピックアップして1日で学ぶのがICLS。費用もAHAだとBLS-2万円、ACLS-4万円合わせて約6万円のところを、ICLSなら5,000~8,000円程度。(費用に関しては、実はICLSは採算を度外視した部分があるので、あまり健全な料金設定とは言えない部分もあるのですが、まあ今回はそれは別問題ということで。。。)

これだったら気軽に受講してもらえるし、私も安心して友達に勧めることができます。

ナース向けとしてはとても良いコースなのですが、問題はその開催数と募集要項。

ICLSの公式ウェブサイトがあるのですが、そこを見ても、どうやったら受講できるのかははっきり書かれていません。開催予定コース一覧なんていうページもあるのですが、ほとんどが非公募のコースばかりで、なんのために載せているのか意味不明。インターネットベースで活動の輪を広げようという姿勢がほとんど感じられません。

私の地元でもICLSはクローズドコースばかりで、地域のMC協議会に参加している病院関係者しか受講できないのが現状。

せっかく良いコースなのに一般には開かれていないというのがICLSの問題点だと思います。この点AHAのACLSなら、インターネット上から申し込む公募制がほとんどですから、受講の窓口としてはACLSの方が広いというのが現状なのかもしれません。

ICLSを受けたいと思ったら、ツテを探すということを私は勧めています。勤務病院の救急センターのスタッフなどに相談してみると案外MC協議会から募集が来ていたりする場合もあります。あとは院内にICLSのインストラクターがいないか探すこと。

ICLSを受講できる立場にある人には、ACLSより先にICLSを受講することをオススメします。ICLSで基本的な救命処置の流れを押さえて、ある程度自信をつけてからステップアップとしてAHA-ACLSに進むとスムーズだと思います。

◆ AHA-ACLSとICLSのテキスト

テキストと事前勉強についてもよく質問があるようですが、ガイドライン2005に基づいた二次救命処置(ALS)のテキストは、まだあまり日本語化されておらず、AHA-ACLSを受講しようと思ったら、英語版の”ACLS Provider Manual”が必須になってきます。AHAガイドライン2005日本語版iconを参考に受講される方もいるみたいですが、ACLS Provider Manual 付属CD-ROMのプレテストに解答をすることが受講の条件になっていますので、現段階ではちょっとハードルが高いかも。私はACLSプロバイダーマニュアル日本語版が出てから受講しようかなと思ってます。

DVDと写真でわかる心肺蘇生法完全マスター 日本版・最新「救急蘇生ガイドライン2005」に沿ったBLS、ALSiconICLSの方は、いちおうガイドライン2005対応の公式テキスト「日本救急医学会ICLSコースガイドブック 改訂第2版」iconが市販されていますが、薄っぺらいわりに値段が高くてイマイチ。私は買ってしまいましたが、正直後悔しています。もしICLS受講に際して参考書を買うとしたら、この8月に発刊になったばかりの『DVDと写真でわかる心肺蘇生法完全マスター』がわかりやすくてオススメです。

ビジュアルガイドの部分と、エビデンス等の解説のバランスが良くて、一冊でBLS~ALSまでが関連づけて書かれているので便利です。私の知るかぎりICLSに限らずガイドライン2005のBLS + ALSを学ぶ入門書としては第一選択にいいと思います。

BLSは看護師としての常識といってもいい時代になったと思いますが、二次救命処置のALSに関してはまだまだこれから。でもすべての看護師免許を持っている人には知っておいてもらいたい内容だと思っています。

関連記事 ⇒『 ICLSとACLSの違い
(姉妹サイト:AHA-BLSインストラクター日記 内)

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コメント

  1. BlueMoon より:

    ACLSのプレテストは、かなりしんどいですね。
    20種類ほどの心電図を読み、お薬に関する知識を得て、それらを応用する問題を解きます。
    合計60問くらいでしょうか。全部英語。
    はっきり言って、受講前の数日間は半徹夜状態で勉強しました。
    ボクはICLSは受けたことはありませんので、比較は出来ませんが、ACLSコースを一言で言うと
    「このままほっとくと10分くらいで心停止になってしまいそうな人を心停止に陥らせないためのコース」って感じでしょうか。
    いいキャッチフレーズじゃない?
     
    ACLSプロバイダーコースは日本の看護師さんが抱える法律的な限界を考えると、オーバースペックなところはあるかも知れませんね。
    ボクは自分の勉強のために受けましたが、最後の頃は心電図が夢の中にまで出てきました(^_^;)。

  2. 管理人 より:

    BlueMoonさん、ACLS受講お疲れさまでした!
     
    おっしゃるとおりICLSは心停止後の10分間、ACLSは心停止になってしまいそうな人も含んでいるというのが大きな違いですよね。
     
    私としてはやっぱりAHAコースを勧めたいという思いはあるのですが、やっぱり英語だと障壁が大きすぎる気がしています。マニュアルが日本語化されるとまた違ってくるとは思うのですけど、、、、いつ頃なんでしょう? ご存じですか?

  3. Yuka より:

    はじめまして
    たまたま、ネットサーフィンしていたら、このブログに当たりました。凄く勉強されていて、感心しました。
     
    さて、私も『DVDと写真でわかる心肺蘇生法完全マスター』を購入しました。確かに、入門書としては購読者も多いと思います。
     
    しかし、示されている手順がAHAの方法が混在しているので、読む人に誤解を与える点が問題だと思います。
     
    日本版救急蘇生ガイドラインでは、脈拍の確認と呼吸の確認を同時に行うことになっていますが、本書ではAHA G2005に準拠し、呼吸の単独確認をした後、人工呼吸、それから脈拍の触知という手順で進められています。反応の確認を行ってから、胸骨圧迫開始まで1分もかかるというビデオはよろしくないと思います。
     
    臨床的に非現実的なAHA G2005の手順をなぜ紹介されたのか?と思います。余談ですが、AHAのビデオもあれじゃダメでしょっていう位、随分と胸骨圧迫開始が遅いですね。
     
    また、ポケットフェイスマスクはあるけれども、その準備に手間取っています(新品でビニールを破るところからスタート)。あそこまで手間取るのであれば、日本版救急蘇生ガイドラインに準拠し(ERC G2005と同じになりますが)、人工呼吸は後回しにして胸骨圧迫から開始する映像を示した方がスピーディーで好ましいと思います。
     
    折角、日本版救急蘇生ガイドライン準拠という本を出したのだから、内容はもうそろそろBye-bye AHAになっていいんじゃないかな?とも思います。この本の弱点はそんなところでしょうか?余りお奨めしたい本とは思えません。
     
    正確性・迅速性・現実的・力強さという点では、学研「BLS:写真と動画でわかる一次救命処置(DVDつき)」、「ALS:写真と動画でわかる二次救命処置(DVDつき)」は非常に良くできていると思います。
     
    批判めいたことを書くのはよろしくないと思うのですが、多くの人の目に留まるものは、まともな物であるという責務があると思いましたので、書き込みさせて頂きました。
     

  4. 管理人 より:

    Yukaさん、はじめまして。ご意見ありがとうございました。
    おっしゃるとおり、AHAガイドラインと日本版ガイドラインの混在という問題がちまたで指摘されている点は私も知っています。また呼吸確認のあたりの話は、執筆者の間で議論したうえであえてあのような形になったという事実もあるようです。(ポケットマスクに関してはまったくもっておっしゃるとおりなのですが)
     
    私個人の考えを書かせていただきますと、日本版ガイドラインの方が実は問題だと思っています。なぜなら呼吸と脈を同時に確認すると軽く書かれていますが、その具体的な方法が明示されていないからです。通常通り、傷病者の側方から気道確保をした場合、頸動脈触知をするためにはあご先挙上の指を離すのがもっとも自然ですが、それで果たして気道確保となっているのか―。腕をアクロバティックにまわし込むようにすればできなくもないですが、それを指導するのはかなり無理が生じます。
     
    ガイドライン2005の神髄からすると、脈の確認より呼吸の確認の方が優先されるはずです。そこを頸動脈触知を無理矢理することで不完全な気道確保になることの方が問題ではないでしょうか?
     
    実際問題、日本版ガイドライン準拠と銘打ってしまっている以上、問題であることは否定できませんが、そうしたせめぎ合いの結果、よりよいものを選んだという側面もあると理解しています。
     
    ICLSに関して、1冊でエビデンスから実技のビジュアル解説までが一冊に無駄なくまとまっている本を私は他に知りません。そういった意味で、職場内でも私はこの本を薦めていますし、その延長でブログでも取り上げさせてもらいました。
     
    Yukaさんがご指摘の事柄も事実、問題ではあります。その点も含めて読み手の皆さんは判断していただけたらと思います。
     
    最後に臨床的に非現実的なAHAの手順とありましたが、その部分は私も感じていました。http://or-nurse.seesaa.net/article/39652024.htmlもご覧いただけたら幸いです。Yukaさん、引き続きお気づきの点がありましたらご指摘・アドバイスいただけるとうれしいです。
     

  5. Yuka より:

    管理人さん、お返事ありがとうございます。
     
    呼吸と脈拍の同時確認は、確かに非常に難しいものです。ERC G2005では脈拍の触知をすることなく、呼吸がなければ心停止と判断し、胸骨圧迫からCPR開始することを謳っています。一方で、ERCのコースマニュアルでは以下のように記載されています。
     
    If trained and experienced in the assessment of sick patients, check for breathing and assess the carotid pulse at the same time.
    もし、訓練された熟練者なら、呼吸と脈拍の同時確認を行うというものです。
     
    つまり、普通の人は脈拍を触れることなく、一刻も早く心肺蘇生を始めて下さいということが言いたいのだと思います。日本版救急蘇生ガイドラインの趣旨も全く同じだと思います。日本とERCの方法はCoSTRの精神に適っていると思います。
     
    私の解釈ではAHAだけが、異なった手順を示しており、脈拍の触知を捨て切れなかったのだと思います。
     
    心停止時に10秒以内に「脈拍が触れない」と正しく認知できる人は2%しかいないという1996年のEberleのデータを覆すエビデンスは出ていないことから、ERC G2005では普通の人に脈拍触知をすることを奨めていないのだと、私は解釈しています。
     
    脈拍だけを触知し、無駄に時間を費やすAHAの方法だけが特殊と考えられ、CoSTRの真髄を外したものではないかと思います。
     
    私個人の経験では病棟で急変した時、脈拍触知なんてしてません。「嫌がりだしたらやめちぇばいいや」と考え、とりあえず、胸骨圧迫から開始します。日本のガイドラインやERC G2005の方が、普通だと思います。
     
    確かに、AHAなしで、現在の日本の蘇生教育活動はなかったでしょうし、その貢献度は高いと思いますが、もうそろそろ、bye-bye AHAの時代じゃないでしょうか?
     
    AHAに係わっている人はAHAの方法に疑問を感じない傾向があり、日本のガイドラインは変だと思われるようですが、私は日本のガイドラインの方がCoSTRの精神に近いと思います。
     
    非常にマニアックな話しで恐縮ですが、あの手の本を読む読み手は、こんなマニアックなことを知らずに読むわけですから、混乱をきたす記述は避けて欲しいということを申し上げたかったのです。
     

  6. 管理人 より:

    Yukaさん、なかなか深い部分での意見交換ができてうれしいです。日本版ガイドラインの「呼吸と脈を一緒に」の記述がERCと同じマインドとは恥ずかしながら気付いていませんでしたので、はっとさせられました。
     
    私自身、AHAとの関わりはあって立場的なものはありますが、個人的にはERCガイドラインの方が妥当だと思っています。ブログ中でも何度か書いているとおり、自身が勤める病院の院内プロトコル作成にあたってはERCガイドラインを推して、脈の確認やInitial rescue breathsは教えてませんし、非医療従事者対象には人工呼吸も省略しています。
     
    循環サインを廃止して、胸骨圧迫の重要性が増した今の時代に、AHAだけがなぜ脈拍確認やInitial rescue breathsにこだわる理由が私にはわかりません。関係者から、「恐らくこうだろう」という意見はいくつか聞いていますが、結局のところ組織としての大きさが仇になって従来スタイルからの大きな改変を避けたがっているのではないかという推測が有力なのかなと思っています。あと、庶民よりのERC、専門家よりのAHAという体質も関係あるのだと思いますが。
     
    さて、最初の話に戻りますが、日本ガイドラインに完全準拠するとしたら呼吸確認の仕方をどのように教えるのが妥当だと考えますか? ERCガイドライン準拠というなら話は簡単です。脈拍触知は妥当性がないということで一切推奨していないからです。日本版の書き方は微妙ですよね。あれを読んで、同時にできないなら別々に確認しなくてはいけないと解釈するのか、同時にできないなら脈拍触知はしなくてもよいと判断するのか。
     
    私の関わっているICLSトレーニングサイトの方針は、前者です。つまり結果的にはAHAと同じになっている。ERCの精神を汲んでいるのだとしても、そのことが日本語の文中からは読みとれないのが残念です。

  7. hidemd より:

    まあ最初の呼吸と脈は微妙ですね
     
    ガイドライン制定担当者が救急関係の方で, 救命士が3人で確認する体制が日常だったからだと思います
    頭部保持して気道確保するひとと呼吸循環を確認する人が別だから出来るんですよね

  8. 管理人 より:

    hidemdさん、コメントありがとうございます。その話は私も聞いたことがあります。ですから、結局のところ、あまり考えずに制定されてしまったという可能性が強いと私自身は捉えています。ERCの精神というよりは。。。

  9. yuka より:

    hidemdさんが書かれているように、複数の人間で確認を行う場合は一人は脈拍確認し、もう一人は呼吸の確認をします。もう一人は、BVMなりポケットフェイスマスクの準備を行えば良いと思います。
     
    もし、一人で同時確認をする場合、どうしたら良いかということですが、ERCのコースマニュアルに載っている挿絵を紹介しておきます。傷病者の右肩に位置する図が描かれています。救助者は右手で脈拍触知を行い、左手で顎先挙上を行って、耳と頬で呼吸を聴いて感じる絵が描かれています。
     
    もちろん、この方法でないとならないということは、日本版救急蘇生ガイドラインでも記載されています。学研の本のDVDでは種々の方法が紹介されており、それぞれの利点・欠点が紹介されていますが、不慣れな者は呼吸確認に専念することが奨められています。
     
    以前に申し上げましたように、私は現場では脈拍の触知はしていません。反応がなく正常な呼吸がなければ心停止と判断し、CPRをしています。理由は簡単・現実的・迅速なCPR開始です。
     
    さて、管理人さんが問題提起されている、同時確認できない場合、別々に確認すると解釈するのか、同時にできないなら脈拍触知はしなくてもよいと判断するのかという問題について述べさせて頂きます。
     
    私の結論は別々に確認するのは適切とは思えません。理由は胸骨圧迫開始が遅れること、脈拍触知開始の精度は極めて低いこと、日本版ガイドラインに「別々に確認すること」を容認する記述は見あたらないからです。
     
    日本版ガイドラインには脈拍の触知と評価に自信がない救助者の場合には、脈拍の評価を省略し、呼吸状態のみで判断してよいと書かれていますことから、脈拍触知はしなくてもよいと解釈するのが妥当で、別々に確認すると解釈するのは適切な解釈ではないと考えます。胸骨圧迫開始を遅らせることになるからです。
     
    じつは、私も元AHAインストだったのですが、AHAだけがなぜ脈拍確認やInitial rescue breathsにこだわる理由が私にはわかりません。判らず教えたり、モデファイ指導を許されないのが嫌でした。AHAインストはAHAの手順を指導するのが責務であって、現実的な判りやすい方法を指導することはできません。そんなこんなで、AHAを辞めました。
     
    私の勤務する病院でも、管理人さんのところとほぼ同じ指導方法でしたので、安心しました。

  10. 管理人 より:

    Yukaさんの書き込みをもとに日本版ガイドラインとERCガイドラインをじっくり見直してみたのですが、、、
     
    結論から言いますと、私が読み落としていた部分が多々あったことに気付きました。今ではYukaさんにおっしゃる点、ほぼ納得しました。ごめんなさい、私の勉強不足でした。
     
    確かにCoSTRの精神をしっかり受け継いでいるのはERCと日本版と言えそうです。今回のガイドライン改定でERCとAHAの差が広がってしまったことに関して、ILCORの議長は、今後もこれが狭まることは難しいだろうみたいなことを言っていました。
     
    エビデンスが優位に立つはずですが、そのすぐ背後には組織としての問題が立ちはだかっていって、せめぎ合いの中、国際的な合意が絞り出されているんだなという点を感じました。
     
    AHAは確かにビデオ教材に基づいてきっちり教えることが目標とされていますが、そこまで厳格な雰囲気を私は感じていません。確かAHA以外の情報ソースに基づいて話をするときは、「これはAHAではないけど」という点を明確にすればいいという規則がありませんでしたっけ?
     
    私自身は、考えてみればマメ知識的な部分でよくERCとか日本版ガイドラインの話なんかもしてしまってます。各種ガイドラインが混在した日本では、注釈としてビデオ以外で伝えなければならない点はあると思っています。
     
    AHAもトレーニングセンターやサイトによって、ずいぶん雰囲気もちがうせいかもしれませんが、うちはけっこう自由な感じですよ。インストラクターの中には他団体のインスト資格を持っている人が多いせいもあるかもしれませんが、AHAすべてという雰囲気はありません。

  11. リンクス より:

    はじめまして!うちの病院は毎年何回かICLSの講習を行なっています。院内にもICLSインストラクターが多くみえて、
    私もインストにられるようにがんばっているところです。
    ちょくちょくきますのでおねがいしまーす

  12. yuka より:

    管理人さん、お返事ありがとうございました。
     
    管理人さんのところのAHAトレーニングサイトは自由な雰囲気なんですね。以前、私が所属していたトレーニングサイトは、自由度はなかったと思います。サイトの差ですね。管理人さんが良いサイトで育てられて、羨ましい感じがします。
     
    反面、そんな地域ではAHAの良くないところに対する感覚が鈍くなるのかもしれません。管理人さんの地域のICLSではAHA G2005と日本版救急蘇生ガイドラインをごっちゃにしてしまっているという点も、そんなところからきたんでしょうね。
    私なりに、そんな解釈をしました。
     
    反面教師と言いますか、私が日本版救急蘇生ガイドラインやERCのお勉強を一生懸命しているのは、AHA(いえ、○○協会)に対する反骨がバネになっている可能性はあります。
     
    例えば、乳児の胸郭包み込み両母指圧迫法は、AHAでしたら、ビデオ通り、両母指を並べて圧迫する指導をしないといけませんよね。でも、私は大キライです。乳児の細い胸骨にたいして、両母指を並べて置けば、私のような細い指でも、圧迫しているところは傍胸骨部(心電図でいうとV1とV2)になってしまいます。私なら、両母指を胸骨正中上で重ねる指導をしたいところですが、AHAという組織のなかで、そのような勝手なことは許されません。
     
    同じようなことで、気管挿管後の確認ですが、AHAでしたら、心窩部聴診をしてそれから5点聴診(正味6点聴診)ですが、これでは、胸骨圧迫中断時間が軽く10秒を越えてしまいます。どうあっても、これを受講生に指導したくないです。
     
    循環の確認方法も、AHA法を指導したくないのはさんざん述べてきました。
     
    あ!ごめんなさい!また、まにあっく路線に走ってしまいました。こんなことでは嫁に行けな…
     
    恐らく、ICLSが優位な地域では、AHA-TCはAHAらしさを出すために、厳格(忠実)になるんでしょうし、自由な雰囲気のICLSがない地域では、AHA-TCが、その地域の面倒を見ないといけなくなるので、多少内容がAHAから離れてでも、自由な雰囲気が根付きやすいのかもしれませんね。
     
    誤解があるといけませんので、申し沿えます。嫌になって辞めた○○協会ではありますが、私なりにAHAに対しては敬服はしています。AHAなしでは、今の日本はありませんからね。
     
    以前にAHAにbye-byeという表現を用いましたが、適切ではないことに気づきました。“Good bye, thank you”ですね。
     
    ですので、管理人さん、また、(AHAについて)色々と教えて下さいね。
     
     

  13. 管理人 より:

    リンクスさん、こんばんは。リンクスさんは看護師さんなんでしょうか? ナースにとってICLSはちょうどいい感じのトレーニングコースだと思います。物事を修得するには「教える」のがいちばん効果的という話もありますし、インストラクターへの道、応援しています。
     
    yukaさん、AHAはきっちりとしたビデオ教材を使って全世界統一のコース展開をしているはずなのですが、なぜか雰囲気はずいぶんちがうのが不思議な気がしています。アメリカを標準と考えた場合、日本ではJRCやAMRあたりがオリジナルに近いという話は聞いています。
     
    ちょこっとだけ誤解を解きたいのですが、私が所属しているAHA関連団体はアメリカ育ちのファカルティが運営するおおらかな組織です。一方私が関わっているICLSはまったく別系統で、こちらは某協会スタッフが兼任している団体。地域というよりはやはり団体固有の特色なんだと思います。
     
    > 反面教師と言いますか、私が日本版救急蘇生ガイドラインやERCのお勉強を一生懸命しているのは、AHA(いえ、○○協会)に対する反骨がバネになっている可能性はあります。
     
    私も同じような感じです(笑)
    あまりに間違った情報が平然とした顔でまかり通っているのがどうにも我慢できず、こんな異端なブログサイトを運営するに至ってます。どうです? Yukaさんもこちらの世界に来ませんか? せっかくAHAインストの経歴があるのですから、こちらの緩い世界でまた資格を復活されてみるのは?
     
    私もAHAがすべてとは思っていませんが、変わり続ける蘇生技術の最先端にいるためにはAHAに所属している価値があると思っています。ERCの正規講習が来年からはじまります。可能であればそちらにも顔を突っ込みたいと思っていますし、トータル的にこの世界を究めてみたいなと考えてます。
     
    今後、より突っ込んだ議論がありましたら、その際は是非姉妹ブログサイトである「AHA-BLSインストラクター日記」の方にも書き込み下さい。あちらの方がコアなおもしろい方たちが見てくださっていますの、より深い意見交換ができると思います。