アウトドアで看護ボランティア

登山客向けに夏だけ山小屋にオープンする診療所があるのですが、そこに看護ボランティアとして参加してきました。
 
基本的には登山者しか来ないような山奥にある診療所ですから、行くまでがタイヘン。職場の同僚と二人で山道を歩いていったのですが、診療所に着くまでの時間、なんと11時間! がんばったと思います。(笑)
 
3000m近い高所ですから、景色もまた格別。高山植物も咲き乱れているし、雪渓は残っているし、道中きつかったけど、楽しくもありました。
 
肝心の診療活動ですが、ハイシーズンだからひっきりなしに患者さんが来るのかなと思いきや平穏無事で軽傷者が1日5名程度な感じ。幸い滞在中はずっと医師免許を持った人がいたので(その人もボランティアです)不安なこともありませんでしたが、もしナースである自分たちしかいないところに重傷者が運ばれてきたらどうしよう!? という思いはありました。
 
日頃は病院の中で、スタッフと器材、医薬品に囲まれて仕事をしていますが、人里離れた場所に身を置くことでいろいろと気付かされる点があります。
 
やっぱり思うのは勉強の必要性ですね。
 
それも最先端の医療知識ではなく、もっと古典的というか根元的なこと。
 
だいたいの場合は、医療ではなく応急手当のレベルで対応できることが多いのですが、医療従事者はいわゆる応急手当を学ぶ機会があまりありません。(=学校のカリキュラムには組まれていないという意味)
 
まずはこの辺をしっかり押さえておかないと恥ずかしいなと思いました。そういった意味では救急医学の本を勉強するよりは、まずは市民向けの応急処置読本が必要でしたね。後は日本ではあまり勉強する機会がない高山病の知識、これは最近受講した日本旅行医学会のセミナーで教わってきたばかりでちょっとばかり自信があった部分でした。
 
幸い、私がいる間は高山病(山酔い)症状の人はいませんでしたが、ちょっとまえには重度の高山病で肺水腫になった人がいてヘリコプターで麓の病院まで搬送されたそうです。
 
そういう僻地に行って感じるのは、頭の中にどれだけ引き出しを持っているか、つまり自分の知識・経験の量が思いっきり試されるなという点。今度行くときまでにはコレとコレとコレを勉強しようとか、否が応でもモチベーションが高まってくるのを感じます。
 
完全な山岳世界なので誰でも行かれるというわけでもありませんが、救急医療に興味がある人には、医療の原点を考えるという意味でもぜひお薦めしたい体験でした。


 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. tomy4aya より:

    またまた興味深いお話で、コメントせずにはいられませんでした。
     
    すごいですね、11時間の道のり、3000メートル級の山。本当にすごいです。
    私はせいぜい片道5時間の山でヒーヒー言っていたくらいですから、想像もできません。しかも、登ったあとに大切な役割が待っていて、果たすということ、本当に尊敬します。
    普段もかなり山歩きをされているのですね。
     
     
    そのようなボランティアの募集はどのような場所で知ることができるのでしょうか。
    やはり、セミナーなどでしょうか。
     
    大好きなアウトドアで、自分の看護の経験や知識を少しでも生かせるなんて、すばらしいことですね。
     
    一歩病院を出ると、物が何もない中でいかに工夫するか、応用するか、アイディアが本当に重要になりますよね。
    今回の記事を読んで、私もたくさんの引き出しを持てるように、勉強しなきゃと思いました。

  2. 管理人 より:

    tomy4ayaさん、またまたコメントありがとうございまいした。
     
    私は人づてでボランティア診療のことを知りました。だいたいは設置母体の医大OBなどが中心みたいですが、診療所にもよってはインターネットなどで公募しているところもあるみたいです。今シーズンはちょっと難しいかもしれませんが、検索で探してみてはどうでしょう? でも北海道にはなかったかも。南北アルプスや富士山などにはいくつかあるんですけどね。

  3. お久しぶりです。
    看護どっと合言葉http://kango.aikotoba.jp/
    で、こちらのブログを登録させていただいておりますが、登録ブログをメディカルニュースで紹介させていただくことにしました。来週頭までオペ・ナース養成講座 様を紹介しております。多少はアクセスアップに貢献出来ると思います。
     
    もしよろしければ、相互に紹介していただければ幸いです。よろしくお願いいたします。