オペ前検査、感染症項目の疑問

前から気になっていた疑問をひとつ。
 
どこの病院でも手術を受ける前には、ルーチンとして感染症の検査を行なっていると思います。ワッセルマン反応にHCV、HBV。病棟からの申し送りでも必ず確認していると思いますが、よく考えてみるとナゾです。
 
感染症検査をするための同意書って取ってるのかな?
 
少なくともうちの病院ではそんな書式は聞いたことないです。もしかしたら入院申込書など、オペ室には回ってこない書類の中で包括的に同意を取っているのかもしれないけど。。。。
 
私が疑問に思うのは、HIVの検査は特別な同意書がないとプライバシーの問題でマズイのに、昔から行なわれているワッセルマン反応、HCV、HBVは、なぜこうも軽々しく扱われているのか、という点です。
 
以前にどこかの警察本部が、新入職員の健康診断で採取した血液から、無断でHIV検査をしていたことが発覚して新聞沙汰になりました。
 
HIVはダメでHCV、HBVはなぜいいのか? この点が私には理解できません。
 
そもそもなんで術前検査として感染症項目が必要なんでしょう?
 
昔だったら、感染症(+)だったら防護具を変えたり、術後の手術器械・部屋の掃除法を変えるなどしていましたが、いまはマキシマム・プリコーションの時代。感染症の有無に関わりなく、すべての患者の体液(汗を除く)は感染源と見なすことになっています。術前検査で感染症患者を区別する必要はありません。
 
針刺し事故を起したときの対応を迅速にするため?
 
まあ、それは一理あるかもしれません。
でもだったら、なぜHIVは検査しない?
 
中途半端に感染症検査などをするから、いくら職場内で教育活動をしても感染症に対する正しい防護策が広まらないのでは? と私は思うのですが….
 
肝炎ウィルス(+)だから防護メガネをつけよう、なんて言っている人がまだいます。まあ、つけるのは悪いことではありませんが、感染症(-)とあっても、検査していないHIVは(+)かもしれないし、将来的に未知の感染症が発見されるかもしれないし。
 
皆さん、どう思われますか?


 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. いちご より:

    いつも読み逃げばかりですが、いつも楽しみに拝見させていただいています。
    感染症。確かにうちの病院も通常の検査においては、同意書はとっていません。ほんとに意味合いを考えると医療従事者の感染を防ぐため??と思ってしまいますね。
    うちはHIVも同意を得られた場合検査しています。その場合は同意書ももちろんとります。これまでにも数回陽性の方や、疑陽性の患者さんがみえました。スタッフも完全防護。でも、外科のDRはあまり気にしてくれず、ちょっとびっくりしましたけど。やっぱり手洗いの時は、普段より緊張してしまいますね。

  2. れん「 より:

    そうですね・・感染症の検査いらないかもしれません。まぁ、確認というか・・そんなところかな。最近は、感染症に関係なく防護めがね使用したり、外回りはエプロンしたりするのが、やっと浸透してきた感じ。ドクターは相変わらず、感染症のときだけですが。ドクターの理解が悪い分、ナースへの浸透が遅れているのではとも思う、今日この頃です。はだしにサンダルで手術にくる医者が理解できません・・。気持ち悪くないのかな・・。

  3. mimimi より:

     “術中に針刺し事故などを起こした場合は,HIVなどの血液検査をさせて下さい”っていう同意書を取っています.でも,それがあるんなら,術前で感染症検査をしなくてもいいじゃんって思いました.
     
     都会のある病院では,術前検査で普通にHIVもしていると,そこから転属してきた人から聞きました.
     
     矛盾だらけの世の中ですね.

  4. レオ より:

    はじめまして、いつも拝見しています。
    ほとんど読み逃げ状態ですが・・・
    本当にためになることばかりで感謝しています。実は私もこの事にはいつも疑問を感じていました。私の職場もルーチンで術前や検査の時には感染症を調べていますが同意書をとっている場面はみた事が無いです。
    「標準予防策をしましょう」と最近やっとディスポエプロンやディスポ手袋などをしてくれるようになった気がしますが古い医師はお構いなしって感じになっています。一応声は掛けますが・・・めんどくさいらしぃ・・・です。
    感染症があったとしても本人に伝えるわけでもなく治療するわけでもなくいまだに検査する理由はなんでしょうかね?矛盾してると本当に思います。

  5. koko より:

    はじめて拝見しています。医療従事者ではありませんが、大変興味深いです。
    2ヶ月前に開腹手術を受けました。術前検査のときにB型、C型肝炎、HIVウィルス、梅毒「感染性疾患に関する術前検査の御理解とお願い」と題する書類にサインしました。

  6. 管理人 より:

    疑問に思っていたの、私だけじゃなかったんですね。よかった。
     
    いちごさん、Dr.がHIVでもあまり気にしていなかったというのは、ある意味スタンダード・プリコーションとHIVをきちんと理解されていたということなのでは?? ヘンにHIVに対して構えがないというのは、アッパレな感じがします(笑)
     
    れんさん、感染症検査もそのうち過去の遺物になるんじゃないかなというのが私の予想。まあ、そうすぐには変らないでしょうけど、患者の人権というのが見直される中できっとそのうち俎上に上がるんじゃないかなと思います。
     
    mimimiさんの病院では「術中に…」という同意書にも関わらず、術前に無断で検査しているんですか? なんだか不思議な話ですねぇ。
     
    レオさん、はじめまして。初の書き込みありがとうございました!
    標準予防策、うちの病院では機能評価に合わせてマニュアルと物品は揃えましたが、実際は埃をかぶっている状態です。それじゃイカンでしょうということで、この4月の新人教育にかこつけて、標準予防策強化キャンペーンを展開しています。あとでそのことを本記事の方に書こうかなと思います。
     
    kokoさん、はじめまして。コメントありがとうございます。昔から行なわれている感染症検査ですが、医療界では「あたりまえ」のしきたりであまり疑問に思われることがない部分なんだと思いますが、kokoさんのかかられた病院ではきちんと同意書があったんですね。きっと先進的な取り組みがなされているよい病院なんだと思います。ここは主に医療者の視点で物事を語っていますので、もしかしたら病院利用者の立場からは不快に思われる内容も含まれるかもしれませんが、なにかお気づきの点があれば、ご指摘いただけるとうれしいです。

  7. HARP より:

    はじめまして。
    私は、患者側なのですが色々と拝見させていただきました。
    来週、全身麻酔で親知らずの抜歯をするのですが、不安な部分もあって
    検索していたら、こちらにたどり着きました。
    へぇ・・・と思う事がたくさんあり、不安も少しなくなりました。
     
    ところで、検査の内容についてですが・・・
    今回、同意書にサインをして、HIVの検査をしました。
    他の感染症については、検査されてるのかどうかさえ分かりません。
    率直な意見としては・・・
    HIVだったら、心構えが変わるの?っていうことです。
     
    私は一時期、町の小さな整形外科で医療事務をしていたのですが
    「血とか針には、気をつけて!」とイヤというほど言われた気がします。
    管理人様のおっしゃるとおり、全ての患者さんの体液は感染源。と思っていました・・・。
     
    今は患者側で、しかもちょっと医療事務をやっていた位の者のコメントで
    大変申し訳ないのですが、タイムリーな話題だったのでコメントさせていただきました。

  8. 管理人 より:

    HARPさん、メッセージありがとうございました。
    歯科口腔外科で全身麻酔を受けられるんですね。私の勤務する手術室でも口腔外科の手術を行なっています。「歯医者さんなのに全身麻酔!?」きっとそう感じている人が多いだろうなと思いますので、ふつうの医科の手術のときとはちょっと違ったトーク展開(?)を心掛けるようにしています。
     
    ちょこっと歯を抜きに来ただけなのに、ものものしい手術室に案内されて、、、という感じだと思いますので、術前訪問の段階から充分な説明を行なわせてもらっています。 HARPも、もし麻酔などに関して気になる点があったらお気軽に聞いてくださいね。手術室看護の範囲ならアドバイスできることもあると思いますので。
     
    ちょっと話は逸れましたが本題の感染症検査についてです。
    HIVだけ同意書をかかされたんですね。やっぱりHIVだけ特別扱いなんですね。いったいその根拠はなに?? 不思議です。
     
    > 率直な意見としては・・・
    > HIVだったら、心構えが変わるの?っていうことです。
     
    建前上、なにも変らないのですが、実際手術室の現場では通常ではいような緊張感をもって手術が行なわれるような気がします。でもそれってホントはおかしな話なんですけどね。医療者って専門知識がありそうだけど、変なところで俗っぽいところがあるから。。。

  9. ICN より:

    もちろんすべての感染症を明らかにしているわけではないので、感染症の有無に関わらずマキシマムバリアプリコーションでの対応を行っていくことは大切です。
    しかし、職業感染のリスクが高い手術室では、勤務中に事故があった際(器械だし中に針刺しをしてしまうなど)、HBV、HCV、HIV陽性者の血液や体液に暴露すると、それぞれの感染症でその後の暴露者への対応が違ってきます。事故後の対応を迅速におこなうために患者の感染症検査をおこなっておくことは必要です。

  10. maiko より:

    感染症の検査は、基本的に標準予防策を実施すれば、必要ないと考えます。が、肝炎患者さん、HIV感染の患者さんの早期発見・早期治療の一端を担えることも事実です。梅毒検査はいるの?血液媒介感染はほとんどないのでは…。又術前、あるいは術前1カ月前検査をしても、ウインドウ・ピリオドを考えると、暴露事故が起きた時再検査させていただくことになるし、経過観察も必要だし…。矛盾だれけですねー!