手術室外回り看護の専門性

ここのところ、比較的生活にゆとりができてきたせいか、連日のように新しい記事を書いています。このペースが続けばいいのだけど、まあ、ムラがあるのが人生というもの。気が向いたときに気軽に書く、そんなスタンスでいきたいと思います。

さて、今日の話題は、私が最近読んだ手術看護に関する興味深い記事の紹介です。

皆さん、「週間医学界新聞」を知ってますか? 医学書院が出しているタブロイド版の週間新聞で、どういうルートなのかはよく分かりませんが、私の病院病院では図書室やら手術室の医師控室に定期的に届られています。(病院として定期購読しているのかサービスで送られてくるのかは不明)

主に研修医向けの情報誌なのかなと思っていたので今まであまり気にも留めていなかったのですが、先日何気なくて手術控室にあったのを手にとってみたら手術看護に関する座談会記事がどどーんと載っていて、これがなかなか興味深い内容でした。


【座談会】手術看護の専門性を考える長期的視野でのマンパワー不足解消をめざして


この記事、ご覧になった人、いますか?

うれしいことにインターネット上でも、無料で読めるようになっていたのでリンクを張っておきました。(上のリンクをクリックすると別窓で開きます)

私が特に注目したのは、次のような部分です。

 実際の手術では,外科医は術野に集中しなければなりませんし,麻酔科医は麻酔に集中しています。ですから,手術全体のマネジメントは外回りの看護師がコントロールしなければいけない。そういう意味では,外回りの役割は非常に大きいといえるでしょう。実際,米国では外回り専門の看護師は非常に高いポジションです。

例えば出血量と各種バイタル,手術全体の経過を踏まえたうえでの,タイミングを見た輸血のコールといったことが求められますから,豊富な知識と経験を持ち,手術室全体を見通せていなければできません。

手術全体のマネージメントをするのは外回り看護師!

私も常々、手術室看護でいちばん重要なのは外回り業務とは思っていましたが、手術全体のマネージメントなんて大それたところまでは考えていませんでした。

言われてみれば、確かに出血量をカウントする頻度やタイミングなんかは、術野を見て自分の判断でやって適時麻酔科医に報告していますが、それを主体的な気持ちで行なうなら、確かに手術全体のコントロールなのかも、と思いました。

そう考えると、外回り業務にも張りがでてくる気がします。はっきり言って手を抜こうと思えばどこまででも手が抜けるのが外回り業務。極端なことを言えば麻酔導入と体位保持、それに術後のドレッシング、抜管さえきちんと行なえば術中は好きな本でも読んで時間つぶし、なんてこともあり得ます。術中管理は麻酔科医の仕事、と任せっきりな部分があると思うんですよね。

でも、「全体のマネージャーはナース」と考えると、ぜんぜん心持ちが違ってきます。この考え方、ぜひ新人さんに外周り業務を教えるときにたたき込んでいきたいと思います。

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コメント

  1. 姉さん より:

    管理人さん
    初めまして。前からちょこちょこと読ませてもらっていました。私は手術室一筋?十○年の看護師です。
    >手術全体のマネージメントをするのは外回り看護師!
    これには、私は凄く賛成です。
    いつもそう思ってましたが、同じような気持ちの人は少なく(まぁ、日本ではあまり重要視されてない部分があるからか?)気軽に考えてることの多い人が目立ちますねぇ。
    聴覚・視覚・触覚・判断力・統括力・知識・配慮などなど様々な能力が生かされる仕事だと思うのに、やっぱり花形?と思われるのは器械出しですよねぇ。たしかに、達成感があるし。
    器械出しがきちんとできれば、同じ手術の外回りは、手術の流れに支障のないようにできるはずだと思うんですが、なんだかやっぱり外回りと器械出しは別の仕事と考えがちなのが、残念です。
     
    それにしても、このBlogは自分の知識の再確認するのにうってつけで、本当にためになります。これからも、遊びに来ますね!
    更新、頑張って下さい。

  2. 管理人 より:

    オペ室一筋十◯年の姉さん、コメントありがとうございました。若造が何を偉そうに言っているみたいな点も多々あると思いますが、なにかお気づきの際はお手柔らかにご指摘いただけるとうれしいです(^^;
     
    さて、外回りがオペ全体のマネージャーという話ですが、オペ室で働いていれば、そう言われればそうかもと思うかもしれませんが、部外者にとってはまったく理解できない部分かもしれませんね。
     
    例の座談会記事にもありましたが、オペ室看護の専門性についてもっと外部に発信する必要があるという意見に賛成です。「誰か手術看護をテーマに本やマンガを書いてくれないかなと思います(笑)」なんてありましたが、ちょっと前までやっていた「医龍」、そこでは手術室看護師がクローズアップされていたけど効果の程はあったのかな?(笑) 今やっている「Dr.コトー」でもとかくオペの場面が多いけど。
     
    認定制度もできたことだし、今後、手術室看護の認識がどんどん変わっていくことを期待しています。

  3. かなこ より:

    管理人さん、今日は。
    リンク先の記事を読みました。わたしは器械出しを看護師でも、医師が行ってもいいと思っていましたし、先輩が言う器械出しを看護師が行うことによって手術時間が短くなり麻酔時間も短くなりという意見もあまり理解できないのですが、座談会で専門の人たちも器械出しを看護師が行う必要性について述べていることですし、もう一回考えてみたいと思いました。
    ちょっと関係ないのですが、病院が引越しをしました。単に引越しと考えていましたが、器械台が変われば今まで使っていたシーツが寸足らずで使えなくなり、看護師の立つ位置も変更されました。その都度医師に確認を取り、スタッフには伝達をして不備が出るので直してと大変です。人へ説明することや計画して実行していくこと、ルールを作ることの難しさを感じました。
    まだ実際に手術室が稼動していないのでいいのですが、稼動し始めたらどれだけ不備が出てくるか冷や冷やしています。

  4. みなこ より:

    管理人さん、はじめまして 
    私はかれこれ昔の経験も含めて、OP室は8年ほどの看護師です。
    現在の勤めている病院では入職時は病棟でしたが、やはりOP看護がしたくて、他の病院に行くことを師長・看護部長に相談したところ、OP室への異動になり、1年半。
    他の病院のOP室経験者がいなく、師長からは、他のスタッフの教育も押し付けられる始末ですが、この夏「新人スタッフが来たときに、皆が同じ視点で教育できるように!」をコンセプトに、教育マニュアルを作りました。
    私的には、新人教育以前に、今のスタッフの教育のため、気づいて欲しいことが沢山あったので、新人…を理由に、いろんな事伝えてきました。
    さてさて、前置きが長くなりましたが、コメントをしたくなっちゃった最大の理由ですが!!
    前置きのとおり、マニュアルを作りましたが、私がスタッフに一番伝えたかったことが、この外回りの重要性だったんです!!
    まさにマネージメントなんです!!
    麻酔下における患者様の代弁者にならなくてはいけないのです!!
    出血カウントはもちろん、尿量だって…各種モニターは麻酔科医が管理していても、外回りもモニターを見ながら、出血や尿量を見ながら、予測を持った看護を展開しなくてはいけない。
    体温管理だって、体位固定だって…
    全身麻酔の患者様は何も訴えられないから!
    麻酔時間を1分でも1秒でも早く終わらせるために、術野での会話や進行にも耳をすませ、器械出しやDrの要求に迅速に対応する。
    OPの真のエキスパートは「出来る外回り」だと思うんです!!
     
    すっかり長くなりましたが…すみません!
    カラヤヘッシブからたどり着いたこのページ。大変ためになることが沢山ですね!
    管理人さん、これからも楽しみに拝見させていただきます
     

  5. 管理人 より:

    かなこさん、こんばんは。かなこさんからコメントを頂いて、お返事を書いているうちにドンドン話が膨らんで長くなってきてしまいましたので、結局新しいブログ記事として公開させてもらいました。
     
    器械出しをナースが行なう意味を追求するという方向性では、私的にはDr.が行なう医学処置の中に看護の視点を取り入れる唯一の手段であるから、ナースが器械出しを行なう意味はあると考えます。でも看護の視点とか、そんな大義名分じみたことは言わずに保助看法に則った「診療の補助」という立派な誇るべき高度な専門性をもった業務だと思いたいです。
     
    病院の引越しですか、、、大変なんですね。うちもゆくゆくはオペ室が入っている棟を立て直すという話が出ていますが、すごい苦労するんだろうな。オペ室設計の段階でうちらに意見でも求めてくれればいいけど、そんな機会は与えてくれなそうです。
     
    みなこさん、はじめまして。いまの病院で貴重な人材として働いてらっしゃるんですね。
     
    麻酔下の患者様の代弁者、いい言葉ですね! それを聞いて思い出したのが、全麻オペ後の人を病棟ナースへの申し送るときに口にでた「術中、痛がってましたが、覚醒後は、、、」という言葉。全麻なのになぜ? と不思議な顔をされましたが、術操作に合わせて明らかに血圧が動いていたので、痛いんだな、そう思っていたので、そんな表現をしてしまいました。麻酔で寝ているけど、それなりの訴えはあるんだよね、という余談でした。
     
    どうぞ今後も気になる話題があったら、どうぞお気軽に書き込みくださいね。

  6. 2年目OR看護師 より:

    私は最近外回りをするようになったのですが自施設で使用している記録用紙が書きにくいためか、また、私の勉強、経験が足りないためか記録用紙を書くのにかなりの時間を要しています。違う施設ではパスを使用しているとも聞いたこともあるのですがどうなのでしょう?記録も大事なのですが患者さんにその時間を使ってもっとして上げられることがあると思っています。
    皆さんの施設では記録用紙はどのようなものを使用していますか?また、手書きの部分はどれくらいあるのでしょうか?

  7. tomo より:

    看護師は手術自体をコントロールしてると思いますよ。確かに手洗いは見た目いかにもORって感じですが、外回りは確かに個性でますよね。人によっては術中椅子に座ってぼけ~っとしたりinternetで遊んでみたり。確かに要点が分かっていればまぁ問題ない場合も多いかと思いますが、それでは張りがないですよね~~。私的には『次の次を考えて』行動し、麻酔科&術者のどれだけ先を読むか、予測するかにかけてました。外回りが上手だとやっぱり手術自体スムーズに進みますよね。しかも術者も麻酔科も気持ちよく『仲良く』仕事が出来てチームワークいいなぁって事で終わりますもん。手洗いさんもやっぱり外回りがいないと成り立たないわけで。
     
    でも、外回りも手洗いも結局は『どれだけ気を回せるか』だと言う事を9年間のOR生活で学んだ気がします。それにはもちろん知識も必要だし、うまくいろんな人(医者?)とコミュニケーションを取れるって言う人間性もかなり必要だと思いますが。

  8. くじらっこ より:

    お疲れさまです。オペ室ナース3年目です。教えていただきたいことがあるのですが、体圧について全身麻酔下と覚醒時では、全身麻酔下の体圧が高いということらしいですね。どのくらい圧に差があるのかを質問されましたが、文献を見つけることが出来ないのです。術中体位についていい文献教えてください。

  9. 管理人 より:

    2年目OR看護師さん、看護記録ってネックですよねぇ。これだけでひとつの研究テーマになっているくらいに奥が深いものですが、手術室看護記録については今一歩遅れている部分もあるのかも。
     
    時代の流れとしてクリニカルパスの導入が流行です。
    この思想自体、私はイマイチ理解できていないのですが、ホントにいいものなのかどうなのかは置いておいて、少なくとも簡略化の方向性は明確に出されている気がします。
     
    うちは病院全体でフォーカスチャーティングにしていますので、経時的にダラダラ書くことはしないで、イベントに焦点を絞って書いています。ですので、突発事項があれば記録はタイヘンだけど、通常のオペであればさほど苦労はしていないかなぁ。
     
    あまり参考になる話が書けなくてごめんなさい。
     
     
    tomoさん、「私的には『次の次を考えて』行動し、麻酔科&術者のどれだけ先を読むか、予測するかにかけてました。」って、わかります~、それ!
    不謹慎な言い方かも知れないけど、楽しいですよね。勉強したらしただけ、次はかなりの確率であたるようになる、それがおもしろくてもっと勉強する。そんなポジティブなサイクルができあがると、自分自身楽しいし、職場の活性化にも繋がっていく。そんな楽しさをどうやって人に伝えていくかは、、、難しいです。
     
    くじらっこさん、なかなか難しいご質問ですね。体圧、私の苦手なところです。思いっきり無知をさらすかも知れませんが、無意識下の方が体圧は高いんですか? 体重は変わらないのに?? 無意識で筋弛緩が聞いていると筋の固さがなくなって骨突出部に力が掛かりやすいという理屈なんでしょうか? さてそれがどれくらいの差なのかという問題ですが、筋弛緩の効き方でも違ってきそうですけど、なにかそういう文献があるんでしょうかね、、、スイマセンお役に立てなくて。