手術室看護の参考書・文献の探し方

ここのところ、手術室看護に関する勉強方法や、参考書・文献の探し方に関する問い合せをよくいただきます。そこで、私なりの「勉強方法」、特に資料や文献の探し方について書いてみようと思います。病棟看護とちがって、極端に資料数が少ない手術室看護領域。特に術式や器械出しの参考文献に関しては、ちょっとしたコツがあったりします。

◆ 手術の参考書

まずは各科手術に関する参考書について。
私が特にお薦め! と思った本に関しては過去ログの中で具体的な書名を挙げて紹介しています。

確か 形成外科婦人科手術手技、それから 手術の基本手技 に関する本などを紹介してきました。

いま、整形外科や泌尿器科に関しても、いい本がないかなぁと探しているところなのですが、今のところこれぞという文献には巡り会っていません。

hyojyun_seikei.jpgとりたててお薦めするほどではないのですが、私が各科疾患や術式等で知りたいことがあったら、とりあえず目を通すのは医学書院から出ている標準○○学のシリーズです。( 標準泌尿器科学 とか 標準整形外科学 など)

医学生向けの教科書シリーズなのですが、これを一冊読めばとりあえず各科の総論的な基礎知識は身につきます。医学書というと何十年も前に書かれた本が平気で書店に並んでいることもありますが、この標準シリーズは改定も比較的頻繁に行なわれていますので、内容的にも安心感があるのがいいです。それに基礎系の生理学や病理学にはじまって、放射線科などを含むほぼすべての診療科テキストが揃っているのも嬉しいところ。

標準シリーズは手術の手技書とは違いますので、私たちの手術室での仕事の直接的な参考書とはなりません。でも局所解剖と疾患、治療の基礎知識を固める上ではとっても役立ちます。外科系のすべての科のものを読破するのはたいへんですが、自分が興味があったり、各職場で専門担当になっている科の本は手元に置いといても損はないと思っています。ちなみに私は生理学と泌尿器科、形成外科、それと最近、整形外科を手に入れました。本当はオペ室の蔵書として揃ってたらいいのになと思うのですが。(なにより値段が張りますからねぇ)

ここのところよく質問のある、整形外科手術のプレート固定が詳しく書かれている本というのを探しているのですが、いまだ見つからず。手の外科とか脊椎手術などの専門手技書はよく見かけるのですが、基礎の基礎というのがないんですよねぇ。AO財団の講習会テキストがいいよとは聞くのですが、市販されている本ではないようだし。。。休日のたびに大きめの医学書センターや医大の図書館・購買部(生協)などに足を運んで、あれこれ本を探しているところです。

いずれにしても手術室業務に関しては「ナース向け」の範囲内で参考書を探すのはちょっと無理がある気がします。術式について詳しく知りたいとか、そういうことでしたら、まずは病院の図書室にあるドクター向けの手術手技書・教科書を当たってみること。それでダメなら近隣の大学医学部の図書館へ行くことをお薦めします。病院の図書室担当の人に声をかければ、大学図書館への紹介状等を出してもらえるはずです。

◆ 雑誌記事・論文検索

次は、最新のエビデンスや看護研究で使うような文献の探し方ですが、これらは圧倒的に雑誌や論文の独壇場です。例えば、最近見直されてきている手術時の手洗い方法や、術後消毒とドレッシング材のことを調べようと思ったら、まだあまり成書には書かれていませんので、雑誌類の記事を探す必要があります。

そこで登場するのが、医学中央雑誌です。通称「医中誌」と呼ばれていますが、これは日本国内の医学系雑誌のすべての記事の見出しと概略を載せている膨大な目録です。最近ではCD-ROMの形で発行され、インターネット上でも検索できますのでかなり便利になっています。

検索に使うキーワードの選定にはちょっとしたコツがありますが、まあ、要はインターネット検索と同じ要領で調べると、キーワードと関連のある雑誌記事・論文がズラッとリストアップされる仕組み。全文が読めるわけではなく、タイトルと抄録から推察して、使えそうな文献があれば、改めてその論文を蔵書している図書館に行って、現物を手にとって確認する必要がありますが、とにかく医中誌システム、かなり使えます。これなしに医学文献検索は不可能だろう、というくらいにスグレモノです。

おそらく病院の図書室にあるパソコンには、医中誌CD-ROMがセットされているか、もしくは病院単位で医中誌ウェブ検索(有料)に接続できるように法人契約していると思いますので、病院の図書係の人に聞いてみてください。検索範囲は限られますが、インターネット上で無料体験版もあります。(病院で契約していない場合は、、、、、近隣の大学医学部図書館に行けば、たぶん使わせてくれます。病院の職員証を持っていって医療職であることが証明できれば利用させてくれることが多いですが、要事前確認。)

文献のタイトルとページ数等の情報が得られれば、これまた病院図書係に申請することで関連図書館などから文献複写サービスも受けられます。コピー代と郵送料の実費はかかってしまいますが、遠くの図書館に交通費をかけていくよりは安いです。そういったシステムも積極的に活用していきたいものです。

おそらく看護の学生時代に、そうした文献検索のテクニックは教わったと思いますが、論文作成時に限らず、ちょっとした疑問解決にも積極的に使っていくクセをつけると、ずいぶん世界が拡がりますよ。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. shisley より:

    こんばんわ。
     
    ご丁寧なご紹介有難うございます。
     
    実は自分も手術手技について、
    勉強せねばなあと思っていて、
    何かいい本ないかなあと探しています。
     
    真っ先に思いつくのは
    ”アトラス”シリーズで、
    三省堂本店に行く度に、見ては躊躇して
    (高い)億劫になっております。
     
    (発行部数から考えても仕方がないのですが)
    医学書って高いのが難点かなあと思っています。
     
    素人がざっくり分かる、そしてリーズナブル。。。
    ないものねだりか・・・(笑)。
     

  2. 管理人 より:

    shisleyさん、こんばんは。
    shisleyさんの立場からだと手術手技、具体的にはどんな感じのことが知りたいんでしょうか?
     
    > 素人がざっくり分かる、そしてリーズナブル。。。ないものねだりか・・・(笑)。
     
    実はもしかしたらと思うような本を、一冊だけ心当たりがありまして、具体的な書名や出版社は覚えていないのですが、手術を受ける患者(一般人)向けに手術の具体的な方法を説明した本でした。著者は外国の人でしたが、ありがちな外科手術を20くらいはあったかな、図入りでわかりやすく解説してありました。
     
    医学書ではなく、あくまで一般書ですので値段はそんなにしなかったはず。書店で目にしたのはもう何ヶ月も前の話なのですが、また見かけたら書名等メモってきます。渋谷のBook firstの医学書コーナーに平積みしてありました。過去に見たことないから新刊だったのかなという気がします。
     
    それにしても医学書の値段、、、溜息ですよね。私も財布が無限大だったら欲しい本が山のようにあります。

  3. shisley より:

    有難うございます。
     
    各科の代表的な術式について、
    手技の簡単な図解での解説と、
    それに使う代表的な道具や器械の説明・・
    といった感じでしょうか。
     
    アトラスシリーズをもう少し簡素にしたイメージです。
     
    その外国の人の著作、
    もし分かったら是非教えてくださいね。
     
    今日は三省堂本店で、
    OPEナーシングとかナーシングトゥデイとか
    ざっと立ち読みしながら、
    結局「イザイ」創刊号を買いました。。
    (医療材料の専門誌です)
     
     
     
     
     
     

  4. かなこ より:

    管理人さん、こんばんは。この前糸のことについて質問したものです。お返事ありがとうございました。
    れんさん、ありがとうございました。
     
    資料探しに苦労されているみたいですが、私も同じです。業者さんに聞いたり、先生に聞いたり。
    値段が張るのも困りますね。まあその分大事にしなければという思いも強くなるのですが。
    せっかく買った本を大事にしていけるように、仕事で活かしていけるようになりたいものです。

  5. 管理人 より:

    最近、私が頼っているのは出入りの業者さんです。忙しい医者を捕まえて長々と話を聞くのはタイミングが難しいことがありますが、業者さんだと一言声をかけると丁寧に教えてくれるし、後日大量の資料を持ってきてくれたりと至れり尽くせり。
     
    ここのところ積極的に声をかけて、勉強会の主催をお願いしちゃったり、なにかと頼りにしています。