モニター心電図装着の目的

今日から何回かに渡って、モニター心電図の基礎について書いてみたいと思います。

実は今月、部署内でモニター心電図の勉強会を主催することになっていまして、これはその下書きみたいなものです。パワーポイントでのビジュアルな資料も作っているのですが、あちこちから写真やら動画を無断取り込みしているので、公のウェブでは公開できそうにありません。ここでは主に文章だけの説明になってしまうので、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、その点はごめんなさい。

◆ モニター心電図はなんのため?

私のいる手術室では、局所麻酔手術を含めて、オペ室内で処置を行なうすべての患者にモニター心電図を装着しています。それはなんのためか? 究極の目的を言うと「患者が死なないように監視する」ためです。もうちょっと具体的に言うと、突発的に起りうる心停止(心室細動VFがメインですが)があった場合に備えて迅速に対応し救命するためというのが第一義だと思います。

次いで事実上の心停止である心室細動(VF)になってしまう前段階の危険な不整脈を早期発見・対処すること。これがもっとも実際的・現実的な理由かもしれません。

それともうひとつは虚血性心疾患の早期発見ということでしょうか。

まとめますと、

【モニター心電図を装着する目的】
1.心室細動(VF)の早期発見・対応
2.VFにつながる危険な不整脈の早期発見・対応
3.虚血性心疾患の早期発見

◆まずは丸暗記でも

モニター心電図を扱う看護師として、まず最初に知っていなければならないのは数ある不整脈の中でも心室細動(VF)波形を見分けることと、その緊急度を理解し、早急に取るべき対応方法がわかるという点です。

心電図の勉強をしようと本を手に取ると、まず最初にベクトルがどうのこうのとかアイントーベンの三角形とか小難しいことが書いてありますが、そんなことは無視。まずはパターン認識としてVF波形を頭にたたき込むことが最優先です。(そのためには正常なサイナス・リズムくらいは知ってなくちゃダメですが)もちろん理解することが重要ですが最初は丸暗記でもいいと思うんです。それくらいにVFは重要です。

心室細動は成人にとっては、健康であっても結構ありがちな不整脈で、突然死の最大の原因と言われています。たくさんの人が集まるところではけっこうな頻度で起きることが知られているため、駅や空港、野球場などでは心室細動対策がしっかりされているところが増えてきました。そう、AEDの配備のことですね。

このあたりの話は、このブログでもすでに取り上げていますので、まだの方はぜひ目を通してみてください。

心室細動(Vf)とはなにか? 初動対応の重要性
https://or-nurse.com/19776815

次回は、正常なサイナス・リズムについて取り上げる予定です。異常な不整脈を見るには、やっぱりまずは正常波形を抑えておきたいということで。

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コメント

  1. チロ より:

     毎回よく勉強してるな~と感心します。このサイト見ると、自分はまだまだだと思います。管理人さんのモチベーションの素は何ですか?ってプライベートになっちゃいますね。やる気をどんな風に維持していくのかな?と気になったものですから。
     
    感心ばかりしていないで、私もなんかやるか~って思いますね。また楽しみにしてます。雑談ですみません。

  2. ぶっこ より:

    心電図は大切ですよね。手術中は常に医者がいるからといって安心していられないです。
    でも難しい。本を見て挫折する方も多いのでは…私もその中の1人です。
    一応、ACLS勉強しているので心停止状態の波形なら少し分かりますが…RonTとかWPW症候群とか細かいのは分かりませんね。
     
    リクエスト歓迎って事なので…ここでいいのか分かりませんが。実は輸液療法についてよく分かりません。術中なんでこの点滴使ってんの~とよく疑問に思います(抽象的だったら内容絞りますが)今、輸液療法の勉強会の資料を作っています。その中で、色々な意見を参考にしたいので、もしよろしければお願いします。
    色々と打つ事など多いと思いますし、お仕事もあってお忙しそうなので、いつでもいいです。
     
    チロさん同様の意見です。管理人さんのパワー、モチベーション分けてもらいたいです。    私もなんかやるか~
     

  3. 管理人 より:

    チロさん、こんばんは。モチベーションですか?
    うーん、なんでしょうね。常に何かやっていないと気が済まない性分で、興味を持ったことはとことん突き詰める性格だから、なのかもしれません。過去7-8年はまったく別の趣味のことにはまっていて、仕事もそっちのけだったんですが、最近はメインの興味がオペ室の仕事にシフトしてきた感じ。いってみればマイブームってやつです。仕事のために勉強をしている意識はありません。どちらかというと趣味です。趣味だからモチベーションもなにもあったもんじゃないかもしれませんね。ただ言えるのは職場の新人さんたちに、どうやったら手術室の仕事のおもしろさがわかってもらえるかなぁという点はいつも考えています。
     
    ぶっこさん、心電図は私も昔、ふつうの本で勉強しようとしたのですが、本の章立てのせいで挫折したクチです。基礎からというのは正しいアプローチかもしれないけど、実践的じゃない! その点、私が救われたのはACLSでの心電図のとらえ方でした。本当に必要なことだけがわかればいいという考え方に目からウロコでした。というわけで、私もACLSの範疇しか知らないです、はい。
     
    リクエスト、輸液ですね。輸液については私もきちんと勉強してなんかしらのout putをしたいと思っていたんです。わが手術室のなかでも輸液の選択は完全に麻酔科の仕事なので、ナースとしてはほとんど関心を持っていないのが現状。へスパンダーが登場したら、輸血が近いかなと思ったりする程度はありますけどね。私自身、勉強しなくちゃと思いつつも、あまり本腰をいれてやったことがないので、これからの課題です。勉強して理解して、それを自分の言葉で表現できるようになるにはもうちょっと時間がかかるかも知れませんが、いつかやります。こんな風に言っていただけると自分自身勉強しなくちゃという気にもなってきますので、ありがたく思っています。ぶっこさんの勉強会には間に合わないかもしれません、その点はごめんなさい。

  4. sasurin より:

    こんばんは。時々おじゃましてます2年目ORナースsasurinです。
    輸液療法、ホントはいけないことですが、麻酔科医にまかせっきりになってます。。。
    でも、今まで経験した中ですごく怖い思いをしたのが、水頭症のPtにドレナージするオペを局麻でされたんですが、挿管状態でやや自発がある程度でレベルは0に近い方で、術中はディプリバンでの鎮静下だったのですが、オペ開始直後に血圧200台まで上がり、ペルジピンを使ったところすとーんと60台まで落ちて、エホチール使っても変わらないのでオペの助手をしていたDrが手を下ろして、サリンヘスorヘスパンダーでボリューム入れて昇圧されたことです。(Ptは術前から脱水に近い状態だったようです。)
    局麻とはいっても脳外Drが鎮静かけてたんですが、それはそれは恐ろしかったです・・・。途中自発もなくなりましたし。
    こんなふうに怖い経験をしながら、「こういうときにサリンヘスやヘスパンダーつかうんだー・・・」とやっとその輸液の意味が分かったりします。ぜひぜひ輸液療法の特集(?)、お願いします(^_^;)

  5. 管理人 より:

    sasurinさんからも輸液特集のリクエスト、承りました(^^)
    輸液の基礎から初めて、手術場特有のこととして出血への補正、TUR手術のときの電解質補正、それと輸血の種類と意味、そんなあたりを含めてまとめられたらと思っています。どうぞ長い目でお待ち下さいね。