「除菌」ってなんですか?

最近、という程でもないけど、テレビを見ていて気になる言葉がある。
それは、

『除菌』

食器洗い洗剤から、部屋のニオイ取りのスプレーまで、テレビをつけていると”除菌”という言葉を聞かない日はない。

私はオペ室/中央材料室の看護師として、滅菌や消毒に関しては、人並み以上には知ったつもりでいる。でも私は「除菌」という言葉の意味・定義を知らない。

いったい、除菌ってなに??

少なくとも医学用語ではないと思う。教科書には載ってないもん。
化学メーカーが無知な素人相手に考え出した宣伝文句か~、と私は勝手に理解している。

その昔、抗菌グッズというのがやたらと流行った時期があった。個人が使うボールペンまで抗菌にしてなんの意味があるの? それにそもそも抗菌っていったいなによ?? サルファ剤でも塗布してあるのか? と思ったが、意味も分からず世の中で流行ったのは事実。まあ、すぐに廃れたけど。またそんなヘンな衛生ブームの再来か? と思っているのだけど、それは俗世間の話だけでは終わらなかった。

最近、私のいる手術室では床拭き用として「除菌」を呼び物とした家庭用化学洗剤を導入するようになったのだ。かつては消毒薬(次亜塩素酸ナトリウム)を使って床拭きをしていたけど、床面の消毒は意味がないという認識から、ただの水拭きに変わった直後の話だった。

どうして変わったの? と、化学洗剤導入を決めた手術室の感染対策の責任者に聞いたところ「除菌効果があるからこっちの方がいいのよ」、だそうな。

あ、あの、主任、、、「除菌」っていったいなんですか??
消毒がナンセンスだからあんなに揉めつつも水拭きに変えたんじゃないんですか??

看護婦の、しかも消毒や殺菌・感染にもっとも詳しいはずの人から「除菌」という非科学的な言葉が出てきたときは思わず固まってしまった。少なくとも医学では除菌なんて言葉は教わったことはないはずだし、正式な言葉でもないでしょう。

除菌について、消毒ほどの効果はないけど、ある程度の消毒効果があるものというように理解していたようですけど、、、、そうなんですか?

消毒が不要なものに対して除菌をする意味ってなに?

そのあたりは突っ込んでみましたけど、筋の通った回答はなし。

看護婦の多くは家庭の主婦という側面を持っていることが多いとは思うけど、そこはきっちり分けてほしいところだよなと思ってしまいました。

床掃除に化学洗剤を使う理由 ―― 界面活性剤でその方が汚れが落ちるでしょ? とでも言ってくれればいいのに、根拠のない宣伝文句「除菌」に期待しているなんて、私としてはとっても複雑です。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. おおとり より:

    はじめまして。私は看護師ではなくて助手なのですが、中材勤務ということもあり、
    除菌という言葉に興味を覚えました。
    早速ネットで検索してみましたが、かかってくるのは商品名ばかり。
    ウィキペディアで調べても“除菌”という単語ではなにもかかってきませんでした。
    本当に除菌ってなんなのでしょうね?
    「ピロリ除菌」という言葉も聞きますが……。
    もしかして“菌を取り除く”という意味で使われているのでしょうか?
    “除草”とか“除毛”と同じような感覚で。
     
    なんだかよくわからないコメントになってしまいましたけど、ごめんなさい。
     
     

  2. 管理人 より:

    おおとりさん、はじめまして。
    オペ室でもナースエイドさんたちにはいつもお世話になっていますm(_ _)m
     
    さてさて、除菌の話題に反応してくださってありがとうございました。「除菌」と言う言葉、これは正式な医療用語ではありません。おそらく洗剤メーカーが勝手に使い始めた言葉で、定義もなければ保証もないデタラメな言葉、と私は理解しています。
     
    ネット検索もしてみましたが、おっしゃるとおり、ヒットするのは製品の宣伝ページばかり。
     
    かつて流行った抗菌グッズと同じように、実は意味はないけどなんだか良さげな雰囲気というだけの言葉を、医療のエキスパートが平気で口にするということに私は非常におおきな抵抗を感じるんです。世間的にはよく混同される消毒と滅菌の違いくらいは常識にしても、看護師のなかでもオペ室という清潔/不潔観念が最も高度に関わってくる職場の中なら、同じ消毒にしても低水準、中水準、高水準書毒の違いはわかっていないとマズイと思うんです。そんななか”除菌”だなんて言い出す人がいるなんて正直ショック。
     
    ってな思いで、例の文章を書かせてもらいました。
     
    > もしかして“菌を取り除く”という意味で使われているのでしょうか?
    > “除草”とか“除毛”と同じような感覚で。
     
    たぶんそう言うことだと思います。
     
    除菌 < 消毒 < 滅菌
     
    日常的にはそういう適当な理解でいいと思うのですが、きちんと勉強しているはずの人間なら、疑問に思わないといけないと思うんです。”菌を取り除く”ってどういうこと? 化学的に? それとも物理的に?
    除くという言葉からは物理的(機械的)に汚れと一緒に菌を落とすというニュアンスに感じられます。だとしたら清潔な水で洗い流せばいいだけのことで、化学薬品を使う意味はありません。
    結局のところ、きちんと定義されている言葉である”消毒”に対して、消毒ほどの効果の有無は検証していないけど、多少は殺菌効果がありそうな薬剤というメーカーの免責として生まれた言葉なんじゃないでしょうか。言ってみれば○○風なんとか、っていう商品名みたいな感じ。
     
    医療従事者としての誇りを持って「除菌」なんて言葉は使わないで欲しい、それが私の勝手な願いです。

  3. おおとり より:

    専門職としての誇り……そうですね。
    私の職場でも「現場じゃこんなこと気にしてられなかったよ」という理由から、病棟からローテーションしてきた人が防具なしで使用済み器材に触れたり(流石にグローブくらいははめているようですが)、消毒レベルで払い出す物品だからといって素手でもいいんじゃないかと言ったりしていて、意識の不足を感じます。
    でも、それじゃよくないですよね……。
     
    中材というのはいわば「製品」を院内に提供する場。
    その「製品」に誇りを持てなくてはいけないんだな、と痛感します。

  4. 管理人 より:

    看護婦って偉ぶっている人が多いですけど、実際のところかなり「なんちゃって」な部分が大きいです。
     
    医療従事者の中でもかなり非科学的な部類に属する教育を受けてますので、その辺は眉唾モノで見ていただく方が間違いありません。
     
    もしおおとりさんがマジメに勉強をなさるのであれば、滅菌や消毒に関しては簡単にナースの知識を上回ることができると思います。っていうか、助手さんの中でも化学系の大学を出た方もいると思うのですが、そう言った方たちに比べたらナースの知識なんて、現場最優先の付け焼き刃みたいなもんです。
     
    今では滅菌技士などの学会認定資格あがって、助手さんたちも受験できますので興味があったら、ぜひそんな方向で道を究めてみるのもおもしろいかもしれませんよ。
     
    (あぁ、また敵を作る発言しちゃったかも…)

  5. より:

    このようなサイトがあります。
     
    http://www.kao.co.jp/house/050601/qanda/imi.html

  6. 管理人 より:

    哲さん、参考サイトのご紹介ありがとうございました。拝見しましたが、やっぱり定義のない「イメージ先行」な言葉という理解でいいみたいですね。
     
    > 除菌とは、「対象物から菌などの微生物を除去する」という意味で、洗剤など「雑貨品」に対して使われる言葉です。「菌をいくつ減らせば除菌といえるか」という具体的な規定はありませんが、花王では、洗剤などを実際に使う時の条件下で、菌が減少するデータを確認したものについて、「除菌」の表現をしています。
     
    もともと企業宣伝のページなので、あんまりアテにならない内容ですけど、すでにこれだけで突っ込みどころ満載。
     
    花王さんの条件に当てはめれば、どんな洗剤だって除菌効果あり、となりますね。それにタダの水だって立派な除菌剤といっていいみたい。水道水で洗えば物理的に菌が流れて減少するんですから。

  7. Lady-e より:

    はじめまして
    たまたま 検索でたどり着きました
    まだ記事は全部読ませては頂いておりませんが
    読ませていただいた記事の殆どが医療関係者ではない私にも
    理解しやすい言葉と表現で書かれていて御サイトに出会えてよかったです
     
    疑問に出会うことができました
    考える部分でも なるほど・・・
    私は疑問に思ってなかったという事柄に
    出会えるのも自分にとって宝です
     
    患者に対して”様”をつける疑問も
    なるほどでした、自分が行ってる病院は
    どうだったけ? 近所にある病院はどうだったけ?などと思い浮かべたり・・・。
    自分なら、どう記述するだとうと考えたりしました。 
    たぶん、私なら ご来院者各位 を使いたいかもなどと考えてみました。
    個人を指す場合は 人対人ということで
    患者様ではなく 個人名さんが安心できるかな
    名前がわからない人を呼び止める時が
    問題だ・・・という疑問は保留中です。
     
    そして この”除菌”という言葉も
    日ごろスルーしてましたが
    そうですよね・・・目からウロコ。
    どういう意味で使用されてるんだ?と改めて考えることができました
     
    ターゲットウィルスが記述されてない
    物が多いですものね・・・
    ”除” という文字から 取り除かれる
    という ウィルスから守られると感じ
    安心してしまう言葉だとあらためて感じました。
     
    その”除菌”グッズを選ぶ期待ですが
    購入者本人は、何から自分を守ろうと 考えているかという部分が問題でしょうね?
     
    洗浄系の物は、風邪と大きくひとくくりに
    されるウィルスや インフルエンザという
    独立したウィルス 夏場などでしたら
    腸内細菌に属するもの 代表選手としては
    一般人にも有名になったO-157などでしょうか?
    でも、使用者が、感染源、感染経路を
    理解してる人なんて きっとわずかですよね?
    そいう人が、”除菌”という ある意味
    安全のお守りみたいに選んですがるのは
    危険かも・・・
     
    ボールペンの除菌とは何を意味してるんだろう・・・ 
    JIS規格上 付着していてはいけない菌が除去されている という意味であれば
    JISマークつければいいだけだし・・・
     
    1つの何故に出会えると
    沢山の何故に出会うことができます
    それはとっても楽しく嬉しいことです
     
    まとまりませんでしたが
    お伝えしたかったことは
     
    ”ありがとうございます”です
     
    これからも 楽しみに読ませて頂きます。
     

  8. 管理人metzenbaum より:

    Lady-eさん、はじめまして。メッセージありがとうございました。
    そうおっしゃっていただけるととってもうれしいです。
     
    患者様という言い方に関しては、一時的なブームでひろがりましたが、最近は冷静になって見直そうという動きが強くなってきて、私としてはホッとしているところです。除菌ブームについては、常在細菌の重要性の見直しなどいちおう医学的にも動きはあるのですが、市販品の除菌に関しては未だ疑問を呈する声は挙がっていないようですね。このあたりの話をすると自然派化粧品に関するトンデモ科学の話とかにもつながっていくのですが、まあ、そのあたりは控えておこうかなと思っています(^^)

  9. Lady-e より:

    metzenbaumさん こんにちは
    自然派化粧品ですね(^^;
    聞いたことあります
    というか、基本的に化粧道具って
    顕微鏡とかで見るときっと気絶するかもですよね スポンジとか(^^;
     
    個人的には、除菌しすぎて菌に対する
    免疫が低くなる体の方が恐いって持ってるんですけどね・・・
    体質的にもともと抵抗力の弱い人にとっては
    重要な問題だと思うですが・・・
     

  10. 管理人 より:

    自然派化粧品の話ですが、天然素材にこだわる考えの人たちは石油原料はダメと頑なに主張するのですが、例えば薬なんかはほとんど化学合成で作られていることはどう考えているのかなぁという素朴な疑問が出てきます。
     
    天然素材が良くて石油はダメという点を最もらしい科学的な説明であれこれしてくれるのですが、どれもインチキ科学な感じがしちゃうんですよね。この人たちきちんと化学を勉強したことがあるのかなって。
     
    そんなあたりのことと非常にかぶる気がします、除菌の話って。