「溶ける糸」って何日くらいで溶けてなくなるの?

外科手術に使う『吸収糸』、つまり人体内で自然に溶ける糸のことですが、いったい何日くらいで溶けて無くなるか知ってますか?

いくつか例を挙げますと、もっとも代表的な編み糸タイプの吸収糸”バイクリル”の場合は、半分の張力を維持している期間が約2週間。完全に吸収されてしまうまでには56~70日かかるそうです。

どうです、思っていたより長い? 短い?

損傷された人体の組織というのは通常24~48時間以内に上皮化するそうなので、そう長い間張力をキープする必要はないみたいですね。

おなじバイクリルでも、”バイクリル・ラピッド”というタイプの糸がありますが、ラピッド rapid というのは「急速な」という意味。コイツは溶けるのが早くて、半分の張力になるまでが5日。吸収期間は42日とされています。

反対に吸収糸の中でも溶けにくい糸は、PDSII。これはモノフィラメント(単繊維)糸ですが、生体内抗張力保持時間は約6週間で、吸収期間は180~210日なんだそうです。

まあ、参考まで。あまり実務に役に立つ知識ではないかもしれませんが、患者さんから術後の抜糸のことなど質問された際には、もしかしたら使えるマメ知識かも。

ちょっと話はずれますが、術後訪問に行ったときに、初回歩行が始まっていて、「おなかのキズが開きそうで、怖くて力が入れられないんです」なんておっしゃる方が結構います。実際自分も開腹手術を受けたことがあるんですが、つれるように痛いというのもあるんだけど、なによりキズが開くのが怖くて歩いていいと言われても動けませんでした。

そんな経験から、私はよく患者さんに「おなかの傷は皮膚に見える糸の他に、奥の方で2重、3重に縫っているからそう簡単にキズが開くことはないんですよ」みたいな話をしています。

きっと、皮膚縫いの糸が切れたりしたらキズから腸が飛びだしてくるんじゃないかみたいなイメージを持っている人って多いと思うので、キズの縫い方を詳しく説明してあげるというのも、オペ室ナースならではの看護のひとつじゃないかなと思います。

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コメント

  1. なっちゃん より:

    こんにちは^^♪
    すっかりこのブログを拝見できる週末が楽しみになりました。
     
    「おなかのキズ…」はついおととい、術前訪問で出くわした場面だったので、
    思わず「なるほど~」です。
    新人お得意の「先生に伝えておきますね」
    …でその場をしのいだ私ですが(涙)
     
    ところで、記事のリクエストをしてもよろしいでしょうか?
    「記録」についてです。
    うちの病院は外回り業務に記録があります。大きな病院ではもう、
    電子カルテのチェック方式になっているらしいのですが、うちは未だ手書きです。
    色々な参考書を見たり、先輩の真似をしたりしているのですが、
    何をどこまで書くべきなのか悩みます。
    「これって麻酔の先生も書くんじゃないの?」と疑問に感じたり。
    病棟がほしい情報ってなんだろう?なんて考えてみたりもするのですが…。
    是非、記事にしてください。
    宜しくお願いしまっす♪

  2. 管理人 より:

    なっちゃんさん、リクエストありがとうございました。
     
    遅くなりましたが、看護記録に関して思うことを書いてみました。
     
    http://or-nurse.seesaa.net/article/17324449.html
     
    記録って、私、これまであまり興味を持って見てこなかったので、きちんと勉強したことってないんですよ。
     
    まるきり、経験だけで好き勝手なことを書いています。いろいろ文献を調べられたというなっちゃんさんからすると、?? ということも書いているかもしれませんが、その点はごめんなさいね。
     
    また、なにか疑問点がありましたら、ぜひフィードバックをよろしくお願いします。可能な限り、お答えしていきたいと思いますので。
     
    また、このブログを見てくださっている諸先輩方、私はこうしてるみたいな御意見がありましたら、そちらも大歓迎です。
     

  3. なっとうまき より:

    はじめまして。手術室について、まだまだなぞだらけの新米看護師です。
    うちの手術室では空調の暖房以外で、患者さんの保温のため掛け物にタオルケットを使用していましたが、清潔面から見ると不適切なのではないかと思われるので、何を使ったら一番良いのか悩んでいます。
    ほかの病院施設ではどんなものを使われているのかぜひぜひおしえてください!
    しょぼい疑問なのですが、よろしくお願いします。

  4. 管理人 より:

    なっとうまきさん、はじめまして。
    タオルケット、確かに言われてみれば埃がたちそうで、
    手術室にはどうかなと思われる部分もありますよね。
     
    まず先に言ってしまいますが、私の勤務する手術室でも
    ふつうにタオルケットを使用しています。正直、私自身も
    これまであまり気にしていませんでした。
     
    これに替わるものとなると、、、、難しいですね。
    保温という意味では、救急隊なんかが使っている薄いアルミ箔の
    シート(アウトドア用で市販されている”エマージェンシーブランケット”と同じ物)が使えそうですけど、ホント保温の用途しかなく、
    ガサガサとうるさくて意識のある状態で使うには問題がありそうです。
     
    うちの場合、タオルケットと”ウォームタッチ”という保温用の
    温風ブランケット(布団乾燥機みたいなものです)を併用していますが、
    術中はドレープがかかるため、ウォームタッチの使用のみでタオルケットは
    使わないという選択肢もありそうです。
     
    ただ、問題は、入室して麻酔がかかってしまうまでの間に体に何をかけておくか
    という点ですよね。その点を考えると、やっぱりタオルケットは欠かせないのかなぁ。
    強いていえば繊維がしっかりしているタイプを選ぶとか、、、、
     
    まあ、実際のところ、術中にバサバサとタオルケットを動かさなければ、
    落下菌等の問題はほとんどないような気もします。
     
    スイマセン、まるきり私の私見で書いてます。
    術中のタオルケットに関するデータってこれまで出されているんでしょうかね?
    どなたかご存じの方がいましたら、フォローをよろしくお願いいたします。
     
    最近のオペ室環境に関する研究結果からは、病棟ナースが更衣をせずにオペ室の中まで入ってきても問題ないとされている、という話は読んだことはあります。
    その点から推しても、タオルケットが術野に及ぼす影響はない、という考え方も成り立つのかなぁ。

  5. Lady-e より:

    metzenbaumさん こんにちは
    溶ける糸というのは
    素人には、抜糸が無い分便利そう
    とは思うのですが
    途中で溶けてしまった飛び出す(^^;という
    イメージより
    個人的には、溶けるというのは
    当然ながら人体に含まれるなにかに反応し
    溶け吸収され見えなくなるのだと考えてましたが
    体質などで、溶けてなくならない という
    人もいるんでしょうか?
    仮に溶けない体質もいるという場合
    その時は、抜糸すればいいだけ という
    答えがでそうなんですが
    その場合 通常使用される糸と比べ
    溶ける糸というのは抜糸はしにくい
    抜糸というイメージではなく
    糸である物質を取り除く 摘出 という
    感じになるんでしょうか?
     
     

  6. 管理人 より:

    糸が溶ける仕組み、考えたことありませんでした。
     
    考えてみると不思議ですよね。体質によって溶けない人もいるのか??
     
    今度縫合糸のメーカーの人に聞いてみようと思います。(定期的にオペ室に出入りしているので)
     
    抜糸に関してですが、溶ける糸は皮膚の表面には普通は使いません。皮膚の表面に使ったとしても、糸が溶けるまでには通常1ヶ月~数ヶ月かかりますので、術後の抜糸時期(1週間程度)ではまだ普通の張力を保っていますので、普通に抜糸できるはずです。
     
    筋層とか皮下を縫った糸に関しては、それが原因で感染でも起きていなければ溶けなくてもほったらかしにします。問題ないです。

  7. あいる より:

    はじめまして(*^_^*)
     
    吸収糸のことで検索していてたどり着きました。
     
    今年の7月頭に筋腫の核出を開腹でしたのですが、退院後、傷口が化膿してしまいました。ゾンデで穴を開け、そこへガーゼを詰めて膿を伝い出しをして、治療しました。結局、手術から1ヶ月以上かかって傷口はようやく塞がったのです。しかし、吸収糸が飛び出しているんです。
    ちょうど下腹部の一番下で、下着がすれてちくちくします。
    一旦、はさみで切ったのですが、まだ数ミリ見えるんです。
    これってこのままになっちゃうんでしょうか?
    この糸からばい菌が入ったりしないか、心配になってます。
    吸収されたところとの境目から自然にぽろっと取れてくれないのかなと願っているのですが・・・。

  8. ACL より:

    2006年6月前十字靭帯の再建手術をしました。
    それ以来傷口の一部分が完治せず、
    1mm程の瘡蓋が残り常に化膿する事6年。
    術後2年ほど経ってから糸の一部分が出てきて自分でほじって切りましたが、
    やはり瘡蓋は残ったまま。
    そうして2011年11月またまたその瘡蓋を取ったところ糸が出てきました。
    前回は引っ張っても抜けなかったが
    今回は”ヌルッ”っと抜けました。
     

  9. さーちゃん より:

    体質によって溶けない人もいるのか?
    是非知りたいです。教えてください。
    8年前、子宮脱で子宮全摘しました。その1年ちょっと後、膀胱炎を繰り返し、その原因が膀胱に飛び出した縫合糸でした。病院からは体質で溶けなかった糸が押し出されたのだといわれましたが、信じられません。膣壁前側の再建も行っているので(執刀医は新米医師)膀胱も縫いこんだのでは?と疑っています。

  10. イテテ より:

    一年ほど前に腹部大動脈瘤切除と人工血管置換手術を受けました。一年を経た今も体内でチクチクした痛みを感じます(縫合したと思われる位置です)。縫い目が糸で引っ張られて、千切れるような感じの痛みです。本当に糸は2ヶ月程度で溶解するのですか?
    お教え下さい

  11. イテテ より:

    3ヶ月経っても回答や助言をしないならコメント欄は止めるべきです。
    中途半端な看護師は一番怖い
     

  12. あきら より:

    大腸ガンの 開腹手術をしました へそ部分をよけて 陰部の上から へその少し上まで
    切開しました 術後の翌日から 歩行と言うことでしたが 傷が開いて腸が飛び出すと
    思いました 腹帯はしているので大丈夫だそうです ただ くしゃみ 笑ったときは
    とても痛く 大変です 傷は開くことは
    ないそうですが もう退院したので そういうことはありません S字結腸と直腸ガンでした 人工肛門にはなりませんでしたので
    無事社会復帰しています 10年たちます
    58才 男

  13. ライトママ より:

    私の場合、最初の手術で溶けない糸で縫い、抜糸当日寝返りしただけで腎生検の5センチ近くぱっくり、中も深さがわかるほど、見えました。出血もあり。主治医に連絡してもらうも、 その状態で2時間以上放置されました。その後病室ベットで縫合、今度は溶ける糸だそうでしたが、約一ヶ月たった今、縫い目はケロイド状に赤く盛上り黒い糸が3ヵ所つんつんと飛び出ていてチクチク痛みがあります。

  14. シオン より:

    20年くらい前に足首を事故で手術したとき溶ける糸で縫った部分もあったのですが
    最近そこがぶつけたわけでもなく傷ができばい菌が入り炎症をおこしました
     
    病院も1件目ではどこかでぶつけただろうといわれたのですが2件目で傷口の中の糸が内部から傷をつけてるといわれました
     
    溶ける糸の性質上場所によっては溶けないことがあるので抜糸しないといけないといわれました
    正直なんのための溶ける糸なんだと思いました
     
     

  15. 吸収糸のことで検索していてたどり着きました。 より:

    はじめまして(*^_^*)
     
    吸収糸のことで検索していてたどり着きました。
     
    【【吸収されたところが痛い】】という、
    同じ悩みの方でこちらを見に来たかたも多いみたいですね。
     
    特に、ずいぶん前の【イテテさんの書き込み】管理人さんからの返事が無くて可哀相に。
     
    でも【【自分の主治医・執刀医にきけば解決する】】はずですよね!!
     
    ★自分に使われた糸の製品名をきいて★ネットで添付情報をみたり★製薬会社自体に質問や相談★をすれば!!
    正確な情報が手に入りますよね?
     
    看護師の「きいておきますね」は、社交辞令みたいな逃げ口上って書かれてますし。
     

  16. 名無し より:

    溶ける糸は、加水分解によって糸の表面から溶け出して、水と二酸化炭素に分解されて体外に排出されるようです。
    念のため、縫合糸メーカーに聞いてみてくださいね。
     
    ※このサイトはとても勉強になっております!