人間の内臓を見て気持ち悪くないの?

オペ室で働いているというと、よく聞かれるのが、

「人間の内臓を見て気持ち悪くないの?」

という質問。

まあ、看護師免許を持っている人たちにはいうまでもないと思いますが、
答えは言うと「別に~♪」です。
仕事中に、脳や内蔵を見ても特別気持ち悪いと思うことはまずありません。

でも、ちまたの素人さんたちのウワサはいろいろあるみたいですね。
よく聞く話は、解剖実習などの後は肉が食べられないとか、麺類が食べられなっただとか。

皆さん、学生時代に解剖実習もあっただろうし、オペ見学もしたと思いますが、どうでした?
たまに貧血を起す人はいますけど、その後肉が食べられなくなったなんて人はいなかったんじゃないかな。

まあ、実際に見たことがないと「妄想」だけが膨らんで、トンでもないことのようなイメージに支配されてしまうんでしょうね。見たことないからコワイ、そんなようなもんです。

手術を見て「気持ち悪い」なんて感じてたら仕事になりません。
例えば、確かに人間の肝臓なんかは、見た目はまさに「レバー」で、そのまま台所に置いてあってもおかしくないような感じがしないでもないけど、だからといってオペのことと日常の食材のイメージが重なることなんてまずないです。

内蔵は大丈夫だけど…

まあ、ふつうの手術というのは、電気メスなどで出血を止めながら切り進んでいくし、キズの状態もきれいなのでヘンな言い方ですけど、見た目もエレガント。それに手術の時は切っている部分以外は緑色の布(覆布)や撥水性のカバー(ドレープ)で被ってしまっているので、人間の体を切り刻んでいるという感じはしないものです。

ところが、さすがのうちらでも「ウッ!」っと思ってしまうのは事故などの外傷で、ぱっくり開いたキズだとか、挫滅されて潰れた四肢なんか。こういうのは正直、気持ち悪いと思うこともあります。

最近、私が見てちょっとダメだったのは、手を機械に巻き込まれて、手の平の半分くらいから先がベロンとめくれて、骨が剥き出しになってしまった事故例。全身麻酔後に、写真を撮るために骨だけになった指を持って拡げろと言われたときはさすがに相当勇気がいりました。

原形をとどめなくなった人体表面というのは、やっぱりキますね。
外傷事故のオペはイヤだ、、、、

それがオペ室にいるからまだ見られるけど、事故発生の現場だったら完全にダメかも。

実は高速道路で見たことあるんです。何台もの車に跳ねられてバラバラに飛び散った人体の一部を。最初はピンク色の腸の一部が見えて、それは良かったんですが、そのうちちぎれた胴体を見てしまったときはダメでした。

吐き気を催すとかそういうことはなかったけど、正直ショックで、しばらく頭の中が固まっているのがわかりました。

なにごとも、それが日常か、非日常かという違いなんでしょうね。

交通事故現場に携わる警察官とか救急隊員なんかは、現場で気持ち悪いとか言ってたら仕事にならないだろうし、プロとしてその現場の処理をしなくてはいけないという職務上の立場もある。だから、同じ物を見るのでも傍観者とは視点が違うわけで、心持ちも違うんでしょう。

もし自分でも、オペ室以外で血だらけの状態の人を見たら、、、、そう考えると、仕事モードかそうでないか、そんな違いなんだと思います。

最後に新人オペナースの皆さんへ:

直接介助の仕事は基本的に長時間の立ち仕事なので「貧血」というのはよくあります。(ベテランであってもね)あ、なんかアヤしいなと思ったら、早めに外回りさんに伝えてください。イスなんかを用意してもらってサッと座ってしまうのが一番。決して無理しないでくださいね。

いちばんコワイのは術野の中に倒れ込んでしまうこと。くれぐれもそんなことにならないように、調子悪いときはすぐに声に出して伝えること! そして倒れるときは後に倒れること(笑)

とにかく頑張りすぎないこと、これ重要なことなんですよ。

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コメント

  1. なっちゃん より:

    こんにちは^^♪
    ブログのコメントありがとうございました。心強いオペナース先輩のコメント、本当に嬉しかったです!
    さて、私はまだ勤務2週間のひよっこですが、骨!これだけは何とも言いがたい感覚に襲われます…。うちの病院は歯科もあって、顎裂のオペのときの腸骨移植が…(鳥肌;)
    その他のオペは意外と平気でした♪
    金曜も勤務明けにレバ刺し食べたし(笑)
     
    とっても参考になる記事が多いので、是非リンクを貼らせてください^^
    よろしくお願いします。

  2. sasurin より:

    はじめまして(*^_^*)
    こんなブログ、待ってました~!
    私はこの春で2年目のまだまだ未熟ORナースなんですが、自慢は今まで一度も倒れたことがないことです。
    そのかわり、周りから呆れられるほど泣いて来ましたが・・・(^_^;)
    でも、最初の頃は腸管を見るのが苦痛でしたね・・・
    参考になる本なども紹介されていて、しかも今までは看護側のものしかあまりみていなかったので、ぜひ手に入れたいと思っています。
    これからも楽しみにしていきます♪

  3. 管理人 より:

    なっちゃんさん、コメント&リンク、どうもありがとうございました。
    オペ室に突然の配属、そんな話を聞いて、自分の職場にきた新人の子たちとイメージが重なって、ついついそちらのコメント欄にもお邪魔してしまいました。
     
    これからもちょくちょくお邪魔させてくださいね。
    こちらもなるべく役に立つようなネタを上げていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
     
     
    sasurinさん、はじめまして。
    ORナースさんからのコメント嬉しいです。
    看護界では絶対的少数で、病院内でもとかく疎外感を感じることが多いORナースですけど、ブログを立ち上げたことで、こういう繋がりができるのっていいなぁと思ってます。
     
    sasurinもブログを立ち上げられたところなんですね。
    今後、コアな話題提供(!?)楽しみにしています。
     
    腸管かぁ、、、
    腸管で思い出すのは、北野武の「Brother」という映画。
    ヤクザが腹切りをする場面があるんですが、ドスを突き立てるとダラーンと腸管が一本だけ飛び出す場面があるんです。あれ~、腸のまわりっていろいろと膜がついてるモンなんだけどなぁ、と思ってしまいました(^^ゞ