[外科系] 正しいハサミの持ち方

手術に使うはさみの話をしたついでに、正しいはさみの持ち方についてもお話ししようと思います。

はさみの使い方というと、たぶん幼稚園の頃に教わって、その後はなにも意識することなく、これまで使いこなしてきたと思います。

では皆さん、はさみを持つとき、どんなふうに指を使いますか?

ふつうのハサミの持ち方

↑ こんな感じ?

だとしたら、残念ながらブーッ、オペ室では間違いです。
なぜならこの持ち方だと、はさみの先の安定が悪く、細かいコントロールが難しいからです。

正しい手術のときのはさみの持ち方は、下の写真のように親指と薬指を使うんですね。で、人差し指ははさみの支点あたりに添えておきます。

手術の時の正しいはさみ(クーパー)の持ち方

こんなふうに持つと、手先がブレず、とても安定するのがわかります。

基本的にオペナースは手術器械をドクターに手渡すのが仕事ですが、助手の医師がつかない場合などは縫合の際の糸切りを頼まれることがあります。そんなときですね、このはさみの持ち方が威力を発揮するのは。

この持ち方はハサミに限らず、鉗子類を持つときはみんなおなじです。ペアンに糸を付けて渡す場合だとか、持針器に針を付けるときなどもこういうふうに持たないと先っぽのコントロールがなかなか難しいです。

余談になりますが、ずっと以前にテレビで「宇宙人の解剖ビデオが存在した!」みたいなUFO特番がやっていたことがありました。その問題の宇宙人解剖シーンで医者とおぼしき術者が手にしていたハサミの持ち方をみると、実は最初に載せた写真みたいな親指と中指でした。つまりごくフツーの持ち方。医療者の手つきではなかったんですね。これがきっかけでその解剖ビデオが偽物だとバレてしまったのだとか。。。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. さくら より:

    はじめまして!クーパーの写真に目が釘付けです。
    これからも覗かせてもらいます。
    ちょっと質問なんですが、術中に使用した鑷子やはさみなどのすべての器械のカウントはどのような方法で行っていますか?
    参考までに聞かせていただきたいです!

  2. 管理人 より:

    さくらさん、はじめまして。
    コメントありがとうございました。第一号さんですね(^^)
    もともと自分も部署に4月から配属になる新人さんたち向けに
    立ち上げたブログなんですけど、第三者の方にも見てもらえてうれしいです。
     
    さてご質問の件。
    器械カウントは「器械メニュー表」に基づいて行なっています。
    外科開腹とかギネ開腹、膣式、ストリッピング、副鼻腔、脳外下垂体などなど
    大まかな術式毎に使う器械セットが分かれていますが、それらには滅菌段階で
    なんの器械が何本入っているかというメニュー表を一緒に入れておきます。
     
    それに基づいて、術前、閉創前、術後に器械出しが責任を持って器械をカウントして
    執刀医と外回りに報告することになってます。
    術中に追加した単品器械などはその都度外回りさんがメモを付けてくれている形。
    こんなお答えで伝わりますでしょうか?

  3. さくら より:

    早速の回答ありがとうございます。
    器械カウントは直接介助者が閉創前に1回行っている状況ということですよね?
    この度、部長クラスから、器械のダブルカウントをしなさいと言われ、現実と理想のギャップで悩んでます。
    ダブルカウントといっても、閉創前に直接、間接2名が声を掛け合って同時器械をみながらカウントを行う方法なら、なんとかできるのですが、(しかし、心外科の場合は器械の数が多すぎて難しい)部長が言うのは別の時期に2名が別々に見ないとダブルの意味がないというんです。
    閉創までにみようと思うと第3者の直接介助者が必要となり、現実的に無理です。
    これからもコメントさせてもらいます。
    ありがとうございました。

  4. 管理人 より:

    > 器械カウントは直接介助者が閉創前に1回行っている状況ということですよね?
     
    そのとおりです。ガーゼカウントは手術終了までに3回は合わせてますけど、器械は手洗いが術中は1回数えるのみです。
     
    > 部長が言うのは別の時期に2名が別々に見ないとダブルの意味がないというんです。
     
    まあ、そりゃわかりますけど、もうちょっと手術の現実を考えてくださいと言いたくなりますよね。
    意味がないとはいうけど、それは点滴薬とか一般病棟でいうダブルチェックの話ですよね。それをそのままオペ場に持ってくるのは無理がある話です。
     
    これに限らず、オペ室にいると、病棟の基準をそのまま当てはめようとして非常に無理があることって多くありません?
     
    例えば注射針はリキャップしちゃダメと言いますけど、さくらさんの施設のオペ室ではどうしてますか?
     
    統計上、針刺し事故が多いのはリキャップが原因ということになってますけど、それって病棟とか外来の話ですよね。オペ室に関しては縫合針による針刺しが多いのはご存じのとおり。
     
    何度も使う局麻用のピストンなんかをそのままの状態で器械台に置いておく方が危険なのに、そういう事情はまったく考えていない基準だと思っています。
     
    病院上層部の人たちもオペ室の現状を知らないんですよね。

  5. さくら より:

    そうだそうだ!!!とうなずきながらコメント読ませていただきました。
    針刺しは最近減りましたけど、私自信が最近してしまいました。
    注射針のリキャップは当たり前ですよ(笑)
    だって麻酔薬を吸うときにはしないとどうするんでしょう。
    針付きの麻酔薬注射器を立てる道具が売られていてうちは使っています。
    ただし、サーフローなどの点滴針は針のままバケツに落としてもらってます。
     
    上層部がいう理想像とやらを実際やってみて欲しいですね。できるもんかって感じですよ。
     

  6. 管理人 より:

    リキャップに関して、改めて文章に起してみました。
     
    よければご覧くださいませ。
     
    『オペナースの憂鬱~ 打倒「リキャップ禁止」論』
    http://or-nurse.seesaa.net/article/16406079.html